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高次脳機能障害



自身の闘病記
>41歳の時、突然の脳梗塞に襲われたルポライター。一命は取り留め、見た目は「普通」の人と同じにまで回復した。けれども外からは見えない障害の上に、次々怪現象に見舞われる。
>トイレの個室に老紳士が出現。会話相手の目が見られない。感情が爆発して何を見ても号泣。
>一体、脳で何が起きているのか
>リハビリを重ね、日常生活に復帰した「僕」を待っていたのは「高次脳機能障害」の世界だった!
>小銭が数えられない、「おっぱい」から視線が外せない、人混みを歩けない、会話が出来ない、イライラから抜け出せないの「出来ないこと」だらけに加えて、夜泣き、号泣の日々。
>『脳が壊れた』から2年、著者はいかにして飛躍的な回復を遂げたのか。

脳卒中になった経験
プレゼンがうますぎる


3度の脳出血で重い脳障害を抱えた外科医の著者
靴の前後が分からない。時計が読めない。そして、世界の左半分に「気がつかない」

脳をどう解明するか?1つのアプローチは機能のマッピングをつくることだ
脳の一部が損傷すると、選択的に機能がなくなるので、このような事例を積み重ねていくと、脳のどこがどのような機能に対応するのかがわかる
認知機能が全体的に低下する、というものではなく、他の機能はあるのに、一つの能力が完全に失われる
側頭葉の内部には紡錘状回があり、損傷すると顔が認識できなくなる
カプグラ症候群
母親は偽物(インポスター)だという妄想が始まる
一般的な解釈はフロイトの「幼児期に母親に性的魅力を感じたからだ(エディプスコンプレックス)」である
大脳皮質が発達すると欲情が抑えられる
「なぜ母親なのに欲情してしまうんだろう。そうだ、お前は偽物だ」
話者はこれを信じていない。ペットのプールに対しても同じことが言えるはずで、筋が通らない
「先生、このプードルは私の犬ではありませんよ」「獣姦願望ですね」
扁桃体が興奮すると重要なものとされ、汗を掻く
自分の考えは、何かを見たら紡錘状回で処理され、辺縁系の扁桃体にメッセージが送られて自律神経系に送られるのだが、辺縁系から扁桃体にいく神経線維が壊れている
紡錘状回は正常なので顔はわかる
扁桃体に信号が行かないので、感情がわかない
「母ならなぜ暖かさや恐怖を感じないのか?」
「こいつは母じゃない」
どうしたら検証できる?
見せたときにどれぐらい汗を書くか
実際母親を見せると、通常の人は汗を書く
カプグラ症候群の患者は汗をかかない
電話(非対面)では妄想は怒らない
聴覚の中枢からは感情の中枢につながる異なる経路がある
これらの回路の成り立ちを考えると幻肢を考えるのが良い
幻肢(phantom limb)の患者の半数は、その幻を動かせる。電話をとったりできる感覚がある。
妄想はしていない。腕がないのは知っている。しかし本物と区別できない。
なぜ幻肢は麻痺するのか?そのような患者はもともとの腕が末梢神経損傷で麻痺していた
事故で腕への神経が切断される
外界は腕の痛みを取り除こうと腕を切断する
しかし、痛みは残る
>症例記録を見た時に気づいたのは (略)切断の前数ヶ月間 包帯で吊るされていて その痛みが幻の腕に引き継がれました
切断前に学習する脳は腕を動かせというが、視覚的には動いていない。このフィードバックが学習される。(ヘッブの関連付け)
このイメージが切断後も幻の腕に引津がれる
どう治療すればいいか?動いている視覚的フィードバックを与えればどうかと考えた。
VRでやる?数百万ドルかかる!
基素2020年現在、現実的なコストでできる
3ドルの箱を作った
> 最初の患者が 鏡を覗き込んだとき 私は「鏡に映った幻を見てください」と 言いました 彼はクスクス笑って 「幻が見えますよ」と言いました でも彼は愚かではありません 鏡の反射だということはわかっています しかしそれは鮮明な感覚経験なのです
>次に私は「本物の腕と幻を 動かして下さい」と言いました 彼は「いや 痛くて 幻を動かせません」
>私は「正常な腕を動かして」と言います 彼は「おお 幻が動き出した 信じられない! 痛みも和らいでいる」と言います
>「眼を閉じて」 彼は眼を閉じます 「正常な腕を動かして下さい」 「ああ 何も起こらない またけいれんしている」
>「はい では眼を開けて」 「わあ! また動き出した!」 彼はお菓子屋にいる子供のようでした
10年苦しんだ痛みが、2週間で消えた
>視覚からは 幻が戻ってきたとの情報を受けます 一方 筋肉からの固有感覚がありません 筋肉からの信号は 「腕がない」と言っているからです 運動指令は腕があると言っています この矛盾の為 脳は言います「もううんざりだ 幻はないんだよ 腕もないんだよ」と ある種の否定に入ります 信号を選択するのです それで腕が消えた時に おまけに痛みも消えます
10年も腕はなく、筋肉からの感覚はなかったのに痛みは続いたのに?
>通常 脳卒中では神経線維の損傷が起き どうしようもないと考えられています しかし 脳卒中で起こる麻痺の ある要素も 学習された麻痺であると判明しています それは鏡を使って 克服できるかもしれません これにも臨床試験が行われて たくさんの患者が救われました
事実
1. 家系が関係する
2. アーティスト・詩人・小説家などに8倍も多いなぜ?
色と数字の領域は隣接している。ココが偶然結びつくと共感覚がおこる。なぜおきるのか?
アブノーマルな遺伝子で結びつく(遺伝)
まず結びついた状態で生まれ、分化する
色々結びつくとどうなるか?一見関係無いアイデアが結びつく。
アーティストには隠喩的な創造性が見られる
どっちがキ!キ!で、どっちがブバでしょう?
原始的な抽象化が行われている
聴覚と視覚から共通の意味合いを引き出した
これは紡錘状回で起こる
ここが壊れるとブバ・キキの能力は消える
暗喩の能力も消える
>「光るもの全てが金ではない」 というのはどういう意味と聞くと その患者は「金属製で光っていても 金というわけではない その比重を量らなければね」と言います その隠喩的な意味合いを 完全に見落としているのです
まあこれは難しい。暗喩的な意味はどうですか?と聞いてくれれば答えられるのだろうか?
「華やかなものがすべていいものだとは限らない。それは人を騙すメッキかもしれない」みたいな?
下等霊長類の8倍ある
なにかおもしろいことがおきている
抽象化や暗喩や創造性がおきている


切断された手足がまだあると感じるスポーツ選手
自分の体の一部を他人のものだと主張する患者
両親を本人と認めず偽者だと主張する青年
著者が出会った様々な患者の奇妙な症状を手掛かりに、脳の不思議な仕組みや働きについて考える


脳神経科医のサックス博士が出会った奇妙でふしぎな症状を抱える患者たち
妻の頭を帽子とまちがえてかぶろうとする音楽家
>古典的神経学の常識(すべての脳損傷は抽象的把握能力を損ない、具体的なものの認識能力を残す)を覆す、具体的なものの認識能力を失い、抽象的把握能力を残した症例
>バラを見て「約三センチありますね。ぐるぐると丸く巻いている赤いもので、緑の線状のものがついている」という描写はできるが、それがバラだとはわからない。
からだの感覚を失って姿勢が保てなくなってしまった若い母親
>急性多発性神経炎により、固有感覚を完全に失ってしまった女性(クリスチーナ)。体の各部がどこにあるのか目で見ていないとベッドに起き上がることも、話すこともできない。
オルゴールのように懐かしい音楽が聞こえ続ける老婦人
>1945年で記憶が止まってしまった男性(ジミー)の話。(診察時は1975年なのに)1945年の世界に住んでいると思っており、1945年に起きたことを現在形で話す。新しい記憶は数秒間しか持続せず、見た端から見たものを、また見たという事実自体を忘れてしまう。
>突然犬のように嗅覚が鋭くなった男性の話。嗅覚によって人々の恐怖や満足の度合い、性的な状態までをも嗅ぎ分けることができ、道や店を匂いで識別してニューヨークの街を迷わず歩くことができたという。
>日常生活では簡単な説明さえ理解できないのに、深遠な意味をもつ詩の中の比喩や象徴は容易に理解する。
>簡単な足し算さえできないのに、何万年前の日付でも瞬時に曜日を当てることができる。また4歳時以降のどの日付を言われても、その日の天気とその日に起こった出来事を新聞でも読むかのように正確かつ詳細に言える。

>感情の脱抑制を抱えた当事者感覚からすると、それは「発生する感情が未経験なほど大きなものになってしまった」といった感じだ。
>F1のエンジンを軽自動車のブレーキで必死に抑えようと、限界まで我慢をしている。
>こんな特性を抱えた当事者が家庭を崩壊させることが多いのは、容易に想像ができると思う
>当事者の怒りのスイッチがどこで入るのかについては、病前に全く怒らなかったことにいきなり怒るようになるのではなく、元々の価値観やパーソナリティの中で苛立ちや怒りを感じた部分が異様にブーストされるといって良い。