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映画大好きポンポさん

2023/12/26 再視聴。面白かった。
テンポが早い。時間をまいたり戻したりするシーンがあるので画面に時間の流れを表す工夫がされている
妖艶な女優が名前をふせるのは明らかに伏線だが次回作はあるのだろうか…
今使っているものは誰のための映画なのか、という部分はメッセージがいくつかある
映画の撮影前はポンポさんだけに焦点があっていた
監督としての回答は「視聴者のため」だった
編集する過程でさらに深まっていく
自分を重ねていく
このあたりは何回も見ないとわからない

前情報なし
群像劇
以降にはネタバレがある

記憶スケッチ
勝手に日本だと思い込んでいたけど舞台はハリウッド(ニャリウッド)
言語は英語が基本
「2 HOURS AGO」みたいな洋画風画面切り替えがたくさん出てくる
授賞式から始まる(ただしこの時点ではそうとわからない。最後にわかる)
物語は美女がタコに襲われるシーンから始まる。これはポンポさんが撮っている映画の一部である
ポンポさんのアシスタント Gene fini
ソーシャルスキルが低い。ナードみたいな感じ。2010年代のオタクイメージ。
映画が大好き。長い映画もずっとみることができる
なぜ彼がアシスタントなのかは語られない
ポンポさん J.O.Ponponette
大物プロデューサーの孫
コネクションを受け継ぐだけでなく、監督としての才能もある。どんな映画でも面白く撮る自信がある。「女優を上手く撮れば、それだけで映画は成立する」
B級映画を撮っているが、好きなわけではない
「感動させるために作った映画より、おバカな映画で感動させた方がかっこいい」
ポンポさん自体は「映画で感動したことがない」という
長い映画が好きじゃない
昔爺さんに映画をたくさん見せられて感想を強要されたから、短いわかりやすい作品が好き
作中でニュー・シネマ・パラダイスに対して長いので嫌いと評している
B級映画の15秒CMをGeneが担当することになる。このCMは最も多く再生されるので、売り上げに直結する。
CMの責任を強調して(社員の給料に対する責任)プレッシャーをかけるするポンポさん
Geneはプレッシャーを受けつつ、編集作業になると「編集楽しい。社員のことなんかどうでもいい。」と心そのそこから思う
このように、キャラクター説明は非常にわかりやすくされている基素
Geneが映画を見ていると、「名作の匂いをかぎに来た」と入ってくるポンポさん
オーディションに遅刻しそうになるGene、バスから水溜りを弾く少女(ナタリー)を偶然見かける。脳内でそのショットにエフェクトが構成され、いい画画撮れたと満足して目的地を乗り過ごす
Geneが年中映画のことを考えていることがわかる
この印象は至る所でつけられるようになっている。例えばGeneはメモ魔で、ひたすらメモをとっている。冒頭では現場のDolly shotのメモを撮っている
ポンポさん、ヒロインに何かを感じるも、「地味だから」とすぐに落としてしまう
Geneが30分遅れた頃には落ちたナタリーとすれ違い、全てのオーディションがおわっている
ポンポさんの祖父に映画を取るコツをきくGene。
ポンポさん、自分が感動する映画を撮るために脚本を書く
書き上がった脚本を読んだGene、ポンポさんの意図を完全に理解する。どのシーンが見せ場かという問いにも淀みなく答える。
10年間引退していた大物俳優を主人公にする。おじいちゃんのコネでオファー
時間が巻き戻り、ナタリーの過去回想パート
工事現場のバイトの時にGeneと一度会っている
新人女優のナタリー
田舎娘で30回オーディション受けて落ちてる
トウモロコシ畑しかない田舎で育った。娯楽は映画しかなった。将来女優になると言ってクラスのみんなは笑ったが、おばあちゃんだけが信じてくれた。映画に憧れ、ニャリウッドへ。
週7バイト、レッスンは隔週に1日。都会の生活費は高すぎた。
ポンポさん曰く「そんなんじゃ部活の主役にだってなれやしないわよ」
仕事を全部やめ、ポンポさんがよく起用している女優と一緒の行動をとれとポンポさんに言われるままに実行する
ナタリー髪を切って、ポンポさんのオフィスへ
ナタリーを見たGene、ナタリーを見て「この人しかいない。そのものだ」と感じる。
実はポンポさんの脚本はあてがきだった
Geneが監督に抜擢されることが告げられる。ビビるGene。
先輩監督は「全員に向けて作るとボケてありきたりになる。一番見てもらいたい誰かのために取れば良い」とGeneにアドバイスをする。このセリフを言われている時にポンポさんに画面の焦点がフォーカスする。
Geneがポンポさんに焦点を当てていることがわかりやすく表現されている
撮影シーンに入っていく
おちゃらけたおっさんの大物俳優、カメラが回り始めると役に入り込む。
ヒロイン役は役そのものになる。ポンポさんの脚本は当てがきで書いている
ロケハンに来た時に大物俳優が意見を述べるが、Geneはそれを脚本の解釈と異なると指摘。指摘してしまったことに慌てる
大物俳優は「いや、いい。君が監督だ。でも意見は言わせてもらうよ。映画はみんなで作るものだから。採用するかどうかは君次第。」と他のスタッフにも意見を言うように促す
撮りたい映像が撮れないハプニングにも機転を利かせてその場でみんなと協力してカットを作っていく。脚本の装丁を超えたカットが生まれる。
現場の意見の採用もある
一番の見せ場の振り返るシーンを撮影する
ここはやや見せ場な気がするが、時間がツメられていたのでよく見れなかった基素
クランクアップ後が監督の仕事。編集である
Gene自らPremiere Proで編集
所属スタジオではできる限り監督が編集する方針
ハリウッドでPremier Proが使われ始めたのは2018年ごろからのようだ
撮影機材は高価なので、Premiereは主に価格の面で優位で、独立系のスタジオで使われ始めたっぽい
DaVinci Resolveの前身のResolveがハードウェアとセットでシェアがかなり高かったようだ
他には何が使われていたのだろう?
カットを監督がするのはどれぐらい普通なのだろうか?
「ディレクターズカット版」とかある。「監督自らが再編集」
72時間ある映像素材をまとめていく
8カメラある映像をどう繋ぐかを検討するシーンがある
ここは意図に合わせてカットを変更していく面白いシーン基素
カットの取捨選択で、どのカットもいいように感じて長くなってしまう
楽しい作業のはずなのに
最初の編集は、音楽家と少女が会うまでに2時間もかかってしまう
誰に向けて映画を作っているのか?を考える
長い映画が嫌いで、最後までスタッフロールを見ないポンポさん
煮詰まった結果、たまたま見かけたポンポさんの祖父に質問をしてみる
誰の映画なのかを考えるようになる
Geneは自分の映画だと思うようになる
自分の人生と、今とっている映画を重ねていく
かけたピースに気づく。それは「失ったもの」
再度役者やクルーを集めようとする。プロデューサーのポンポさんに対してわがままを言う。
調整はしんどいので怒るポンポさん。目をかけてきた奴が作品に真摯に向き合った結果に、口元には笑みが浮かぶ
とはいえ調整には金が掛かる。金策に走るポンポさん。まつわる資金繰りの問題
ハイスクールの友人の銀行マンが決死の謀略で融資を引き出す
中盤でハイスクールの友人にGeneはあっている。その頃のGeneは非コミュの映画オタク、一方友人は彼女持ちで学生生活を謳歌していて、ノートにぎっしりと好きなもののメモを撮っているGeneを格下に見ている。
銀行に入った後、別にやりたいことではなくこなし仕事で失敗している自分と、映画監督になったGeneを比較して心からGeneを見直し、過去の対応を謝罪する
やめようかと考えていた銀行の先輩のデスクで、たまたまGeneの会社の金策を知り、担当させてくれと言い張る
思いを込めた演説は「数字で納得させろ」と役員に言われて失敗する
「ある仕掛け」で頭取が気に入って融資を引き出す
主人公は誰に見てもらいたいのかを明確に述べる
ポンポさんの祖父に相談するシーン
脚本のポンポさんに聞けば、答えを教えてくれるかもしれないが
それでは自分がいる意味はないと感じ、自分で考えたかった。
ここのシーンで祖父は昔のフィルムをカットしている。Fight Clubのタイラー・ガーデンが元ネタ?
編集中に過労で入院するGene
残り時間は数日。自分のわがままで再撮影したカット、編集はまだ残っている。
病院を抜け出してスタジオに戻るGene。編集を他の人に任せたら、自分の映画ではなくなってしまう。
PCに向かって編集をする、カットをしていく。
編集を見守るナタリー。自分のシーンが切られそうになると悲しげな顔をする
ここの顔芸は感情もよくわかるし効果的で印象に残るシーン基素
短くすることを決意したGeneは「でもここがなくても成立するから」という
Deleteキーを押す指は震えていて、監督もカットするのが怖いのだと悟るナタリー
カットの楽しさを感じるGene。どんどんカットしていく。
カットするのは自分の人生そのものの振り返りだ。
人間関係をカットする。映画の音楽家は家庭をカットした。全てを切り捨てて、映画に人生を捧げる。自分にはこれしかない。逃げて逃げてここまできた。死ぬか、作るか。これしかない。
人生の他のことを映画のためにカットしていくGene
このシーンで花譜の挿入歌が入る
そして、映画が完成する
完成した作品のクライマックスシーンが流れる
音楽に身ささげた感情のない音楽家が、感情を込めたアリアを指揮する。妻と娘(父のことは知らない)が実は聞いている。昔、家族の時間を共有していた時に音楽家が娘を膝に抱えながら弾いたおもちゃのピアノの「最低のアリア(実際には最低ではない)」を思い出し、老いてなお変われた傲慢な音楽家の音に涙する
映画を見たポンポさん、スタッフロールが終わるまで席をたたない
長い映画が嫌いなポンポさんは、スタッフロールまで映画を見ることがなかった
アカデミー賞を男優、女優、監督がとる
授賞式で司会に映画の気に入っているところを聞かれたGene、「上映時間が短いところです」

感想
メタ構造が激しい
劇中劇
スタッフロールでは、作中の回想も劇扱いとして扱われている
劇中で映画の長さが90分なのは意味があるのだが、この映画自体の長さも90分になっている
序盤のカットは詰め込みまくり。全体的に展開が早い。
なぜポンポさんはセーラー服なの?
主人公が闇属性で賛否両論ありそう
作品のために全てを捨てるというのが根底では肯定的に描かれているように感じた
人生をエンジョイしている人には出せない内省の深みというのは本当にあるのだろうか?
自分の人生を振り返ってみると、この映画で肯定される立場だが、そうじゃない在り方もきっとあった
仕事の責任感とかは、編集しているとどうでもよくなる。自分の楽しさのために作業に没頭するタイプ
無駄なカットが全然ない
同じカットを何度も使って舐め回すレベル
実写とアニメはプロセス違うよなー
女優の声の演技は素人っぽかった
カメラを止めるな!よりだいぶスケールがでかいが、精神面の描き方から「自分も撮ってみたい」と思うのは同じ
劇中劇は本当に洋画にありそうな感じだった。指揮者の音楽家が演奏家を詰めるシーンはセッション(2014)さながら
公式サイトにはポンポさんの好きな映画としてセッションが上がっている。この辺りの「好きな映画」は製作陣も見ているだろうから影響された可能性はあるだろう
Geneの過去回想で、シアターで映画を見ていると入ってくるが途中ですぐに帰ってしまう人がポンポさんだったというのがあったが、これは結構過去の話?
Geneのオタク像が〜2015年ぐらいのイメージ。
ポンポさんがGeneをアシスタントに選んで近くに置いているのは、Geneの目が圧倒的に生気がなく、内省的な人間だからという理由が語られる。そしてその際にリアルが充実している人は創造性が比較的ないと否定される。自分の感覚では、リアルも想像力も充実している人はたくさんいる印象がある。本作ではGeneのキャラクター造形に妬みがないので成立しているが、一歩間違えるとメッセージが大衆受けしなそう。