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改正プロバイダ責任制限法(2022年10月施行)
背景
2001年11月制定のプロバイダ責任制限法
>法律制定当時は、インターネット上の違法情報・有害情報が流通するプラットフォームとしては電子掲示板が主
>主なコンテンツプロバイダとして、電子掲示板等のサービスを提供する事業者を想定していました。
>昨今トラブルが頻発しているのはSNSを利用した権利侵害投稿です。このようなSNSでは、ログイン時のIPアドレス等は記録されているものの、投稿時におけるIPアドレス等は記録されていないことが多いのです。現行法で開示の対象として規定されている発信者情報に、ログイン時のIPアドレス等も含まれるかどうかが必ずしも明らかではないため、開示請求が認められない裁判例もありました。
>そこで、改正法では、ログイン時のIPアドレス等を「特定発信者情報」として、一定の要件を満たす場合には開示の対象とされることとなりました(改正法5条)

経緯
>総務省は、2020年4月、発信者情報開示の在り方を検討することを目的に、「発信者情報開示の在り方に関する研究会」を開催し、2020年12月に「発信者情報開示の在り方に関する研究会最終とりまとめ」を公表しました。https://smbiz.asahi.com/article/14708613[
2021年4月成立
全5条→全18条に増加

ポイント
ログインするコンテンツプロバイダ(例:Twitter)に対してログイン時情報を開示請求できる
今まではできない(「当該権利の侵害に係る」発信者情報ではないため)ケースがあった
>改正法では、ログイン型サービスにおけるログイン時通信等を指す概念として「侵害関連通信」という情報類型を設け、専ら侵害関連通信に係る発信者情報(ログイン時情報)を「特定発信者情報」と新たに定義し、「特定発信者情報の開示請求権」が制度化されましたhttps://smbiz.asahi.com/article/14708613
1回の裁判で全部できるようになった
「発信者情報開示命令に関する裁判手続」が追加
現行法では2回(損害賠償請求を含めると3回)裁判する必要があってコストがかかった
>コンテンツプロバイダに対する発信者情報開示仮処分の申立てを行った上で、
プロバイダは発信者の意見を聞いたりして開示するかを決めるが、拒否された場合申立て人は裁判所へ開示請求をする
開示に応じない発信者に対してはその理由も聴取しなければならないことが明文化された(改正後)
>アクセスプロバイダに対する発信者情報開示請求訴訟の提起を行うという、2段階の裁判手続を経る必要
IPがコンテンツプロバイダから開示されないと、アクセスプロバイダが特定できないから当然こうなる
1つの裁判で円滑に発信者情報開示できるようになる制度の新設
>同手続きは主として開示要件の判断困難性が低いケースや、当事者対立性の高くないケースを中心に利用されることが期待されます。
具体的には?基素
>事前にプロバイダ側から強く争うことが示されたケースなどにおいては、2段階の過程を経る既存の手続きが選択されることになる見込みです。https://smbiz.asahi.com/article/14708613 改正プロバイダ責任制限法、2022年10月施行 わかりやすく解説 | ツギノジダイ
どうも解説を読んでも何が旨味なのかわからなかったのだが(CPに拒否されたら結局同じじゃない?)、CPが開示に積極的な場合に裁判を迅速化できるのが狙いのようだ
>新たな裁判手続は、理想的に機能した場合は全体で3か月程度になるのではないかと言われており、
開示命令に加えて、付随した命令を申し立てることができるようになった
提供命令:申立人(の申し立てを受けた裁判所)→コンテンツプロバイダ
提供命令の内容
申立人に発信者情報から特定したアクセスプロバイダの名称をよこしなさい
IPアドレス等は開示されない
発信者情報からアクセスプロバイダにも情報を渡しなさい
解決される問題:もしコンテンツプロバイダが開示した場合、開示命令を待たずにプロバイダに対して発信者情報開示命令の申立てができる
改正法第15条
裁判所は開示命令より要件が緩やかに提供命令を出せる
発信者情報は開示されないので
禁止命令:申立人(の申し立てを受けた裁判所)→アクセスプロバイダ
提供命令の内容
発信情報の消去は禁止
解決される問題:開示に時間がかかっているうちにログが消える
改正法第16条
コンテンツプロバイダの仕事が増える
発信者情報からアクセスプロバイダの名称を特定して提供しないといけない

実務の懐疑的な見方
>「他人事」に過ぎないウェブサイトやプロバイダがこのような粘り強い対応をすることは考えられず、制度がうまく機能するかは全くもって未知数と言わざるを得ないでしょう。
TwitterやGoogleなど海外法人が運営するウェブサイトに対する電話番号の開示請求で裏技的な使い方が期待できるらしい
>TwitterやGoogleなど現状でも日本の裁判手続きに協力的なウェブサイトを相手取る場合に限定されますが、新たな裁判手続きの活用により迅速に3か月程度で発信者の電話番号を入手できる可能性があります。

実際にやった話
>@fujiyoshi_ben: 【主に弁護士向け】
>Twitterに対する提供命令1号事件として現況を。
>•Twitterは裁判所の提供命令に従うつもりはない。
>•裁判所的には法律上は直近のipのみだが(開示も)、連携アプリだった場合はその前に遡る余地ある。
>•ただし、一度開示命令出たら既判力により同一投稿で再度申立てる余地なし。

>@KandaTomohiro: ゆえにTwitterのIP開示は従前どおり仮処分にするか、提供命令を付けない開示命令申立にするかなのでしょう。もう提供命令を付けてしまった場合は、提供命令申立てを取り下げるか(15Ⅳ)