>本稿の分析結果によると、現物市場に固有の取引制度は、同市場の流動性を先物市場対比で相対的に低下させやすくする側面があり、このことが、わが国株式市場における「先物主導」の株価形成につながっている面があると考えられる。
>もっとも、こうした株価形成は、先物市場が現物市場に先んじて「真の価格」を発見していることを必ずしも意味しているわけではない。東日本大震災等の大規模ショック時の株式市場の反応から推察すると、現物市場に固有の取引制度は、同市場の流動性を低下させる一方、少なくとも事後的にみれば、「価格発見力」を高める方向に作用しているとの評価も可能である。