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リズと青い鳥
台詞がないのに画面から伝わる、心の所作

>響け!ユーフォニアム」の完全新作劇場版。吹奏楽に青春をかける高校生たちを描いた武田綾乃の小説「響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章」を原作に、テレビアニメ第2期に登場した、鎧塚みぞれ傘木希美の2人の少女が織り成す物語を描く。北宇治高等学校吹奏楽部でオーボエを担当する鎧塚みぞれと、フルートを担当する傘木希美は、ともに3年生となり、最後となるコンクールを控えていた。コンクールの自由曲に選ばれた「リズと青い鳥」にはオーボエとフルートが掛け合うソロパートがあったが、親友同士の2人の掛け合いはなぜかうまくかみ合わず……。


初回に見た時の感想。ネタバレがあります

雑感
傑作
話がとても地味
地味なのは悪いことではない
マーケの観点では話題性を作りづらそう。ニッチに刺す路線になる
PVの売り文句、本のタイトルと同じ問題に苛まれている
衝撃的なものは何もない。我々は展開されていく心の動きを息を飲んで見守る
心理描写が丁寧。視聴者は主体的な読み解きを促される
露骨すぎる演出が少ないのが個人的に好き
音の表現が適切で良い
BGMは全体的におとなしめ
聞いて
暗喩が多い
体のパーツの所作で心の動きを表現
みぞれの髪の毛をいじくる動作
のぞみが自分の手をいじくる動作
主観視点での足の動かし方
目の開き具合、きらめき方
構図
鳥かごの構図
のぞみと話している誰かが見えない構図
のぞみしか見えていないから、その相手がだれなのかというのは映る必要がないのだと思う
対照的な構図
後半、リズと青い鳥を借りるみぞれに対して、問題集を借りるのぞみ。二人の気持ちは独立して動き始める。教室を曲がる方向真逆になるし、目的地も方や音楽室、もう一人は自習の机になる
言葉の説明はいらない
セリフ
決定的なセリフは言わさない
明らかな上に、たぶん、いうと安っぽくなる
視聴者は自分の頭の中で物語を保管していく。製作者の整えた映像に点睛を入れる
この作業は、物語に没入してもらうためには結構重要なのではないか
好きな演出
先生にのぞみが進路相談をした時に、パンフレットを手渡されないこと
これだけで、のぞみの実力がどう見られているのかわかる
パンフレットを画面に出す必要すらない。「あら、そうなの。頑張って、いつでも相談に乗るわ」と先生が言うだけでよい。
何度も何度も同じ構造が別の解釈で繰り返されるところ
劇中劇の解釈から、実際の登場人物たちが自分たちの自己認識を変え
抱き合って好きなところを言い合う遊びをしようとして、抱きつかれないことがわかってるから自分で抱きにいくみぞれ
のぞみの好きなことをどんどん述べるみぞれ。疑いの余地なく彼女にとってのぞみは「全て」だった
みぞれは「あなたの演奏が好き」という一言だけ。それも、すとんと自分から出てきて、少し考えたのちに笑い出す
はじめてそこで自分が好きだったものがなにかを明確に自覚できて笑ったのではないか?と読み解いた
自分が演奏が好きなのではなく、みぞれの音楽が好きだった。だから一度やめたのに戻ってきた。
なぜか自分の中では自分が音楽をやりたいという認識に書き換わっていた
音楽が聲の形っぽいなと思ったら同じ作曲家牛尾憲輔氏だった
劇中劇があり、その話の進行に合わせて作品が進んでいく
キャラクターが劇中劇を解釈する
自分の解釈によってキャラクター自身の自己認識と周囲との関係の取り方変化していく