トーンの基礎知識
トーンという用語を使うとき、大別して2つの言及のされ方がある。文脈によってどちらのことを言っているのか異なるので注意。
1. 印刷技術のトーン
絵を印字するために使うドットパターン
サイズ:数十〜数百μmm
影とかに使うドットパターン
サイズ:肉眼で見れるレベルの大きさ
印刷技術のトーンより大幅に大きい
漫画家が「トーンをはる」というときにはこっち
ただし、今日び漫画家もデジタル移行しているのでPC作業でやることも多い(トーンワークだけPCみたいなスタイルを取る人もいる)。アナログのトーン貼りをする人は減少傾向だと思う
2021/06/30現在 週刊マガジンでも完全アナログは3人(27作品)
主として
印刷のための技術なので、印刷に関連する話題と密接に関わっています
印刷技術のトーン
紙に印刷するときに何が起きているのか:AM印刷とFM印刷
同人誌を印刷する時に、最終的な出力結果はインクが乗った紙です。
インクを紙に載せるのは印刷機です。
原稿が印刷機で印刷されるときに何が起きているのかを理解しておくと便利そう、ということでまとめます
印刷方式種類 | 濃淡の表現方法 | スクリーン角度 | 階調 | モアレ |
AMスクリーニング | (規則正しく並んだ)点のサイズの大小 | あり | 低い | でるかも |
FMスクリーニング | 微細な点の粗密 | なし | 高い | でない(出すことは可能) |
いくつかあるが、大きなところでは
階調表現が高い
グレースケール入稿に有効。グレースケールの原稿はFMスクリーニング対応の印刷機で印刷されるはずです
色彩物が色鮮やか
物理的ドットゲインの量がAMスクリーンに比べて大きいため、インキの周辺にある紙の白色(濁りに感じる要因)が少ない
AMスクリーンは規則正しくならんだ網点のサイズで濃淡を表現する
漫画でいう
トーンと原理が同じなので混同しがちだが、別物だということに注意
FMスクリーンは微細な点をランダムに撒いて濃淡を表現する。
AMスクリーンの点よりもずっと微細
50%近辺においての網点サイズはAM175線では約 100 μmに対してFMでは20μm程度
FMは書籍向けの20μmの印刷機を使ったと仮定
FMは印刷対象により最小ドットサイズが異なるものをつかうようだ
Creo社の
Staccatoでは、湿し水が均一に供給されないために目詰まりし、中間調で濃淡の偏りが生まれてしまう問題があったので、湿し水が均一に供給されるように非画線部の面積を均一化して今に至る
FMスクリーニングとAMスクリーニングの違いの実例
>FMスクリーンとAMスクリーンの違い。拡大して見てくださいと言われて、違いがハッキリ。 #大陽出版
>
参考
グレースケールを印刷する
table | インクジェット | 印刷所(AMスクリーン) | FMスクリーン |
グレーの表現の実現手法 | インク量 | ドットサイズの形状・密度・サイズ | ドットの密度 |
網点のサイズ | 一定 | 可変 | 一定 |
アンチエイリアスの表現 | できる | できない | できる |
トーンのパラメータ
濃度(ドットのサイズ)
張る角度
印刷の実際
トーンを使うなら2階調での入稿が勧められている
FMスクリーンで印刷するデメリット
ドットパターンが細かいので、印刷用紙はきめ細かいものでなければならない
サンプル
>「グレースケール」モードの原稿を「FMスクリーン」を使って印刷すると、グレーの部分や網点(トーン)の目の細かい部分がつぶれる場合がございますので、あえて少々の「モアレ」には目を瞑って「AMスクリーン」での印刷を希望される方もいらっしゃいます。
> 「グレースケール」モードの原稿を「AMスクリーン」を使って印刷すると、「網点(トーン)のつぶれ」が少なく、グレー部分も「もやっ」とした感じが無くスッキリと印刷されます
グレースケールの原稿をAMスクリーンで印刷するとモアレが出るのでは?
グレースケールとトーンが
混在している場合にはAM印刷は
モアレになる
>(FM印刷は)グレースケールの人肌、中間の明るさ均一な塗りは荒くザラザラしたように見えます