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4. 10月10日 個人情報とマネタイズ
太田 康広 慶應義塾大学 大学院経営管理研究科 教授

スライドのPDFは次のところにあります。

shioは学生時代の友人
大学で同じクラスだった
shio眩しい東京の私立大学の学生
最近は派手よりエコに目覚めてらっしゃいますね
西川先生も同じ友人
二人より常識人です
二番じゃダメなんですかの後に仕分人やってます
イージス艦の値段や電気料金の算定などもやってます

マネタイズ
ただのサービスからいかにしてお金を稼ぐかという意味です。
元々は資源の利用などの意味に使われている

Google 昔からこのデザイン
どうやってお金儲けするつもりなのだろうか?
他のサイトは広告などがたくさん
最初は無料でユーザーを増やし、その後有料化・広告付け。

ツール,考え方
サブスクリプション
今までビジネススクールで学んだことは役に立たないと言われる。
原理原則は変わっていないが適用条件が変わったということを言いたい。
原理原則を学んだ上で,条件がどのように変わっていくかを学んだ方がいい。条件は変わっていくから。

買おうとする人がいて売ろうとする人がいる。
財・サービスを提供して見返りにお金を支払うのがビジネスモデル。
1つ,買い手はどうやって売り手を見つけるのか?
海外に行ったら,まずベットを買って持って帰らなければならない。
とりあえずdowntownに行って売っていそうなところを見つける。
どうやって売り手を見つけるか
2つ,買い手はどうやって品質を確認するのか?
親の影響,普段のCMで,あれと行ったらこれというのを知っている。
傷ができたらバンドエード,風邪をひいたらあの薬。
海外だとこれがない。
個人経営の店か、ファミレスか・・・
売り手がどうやって買い手に品質を宣伝することも難しい。
情報の非対称性:よくわからないこと。
片方が知っていて、片方が知らないこと。
知らない人は「自分が知らない」ことを知っている。

例えば保険に入るときに,どっちが情報を知っているか?
保険の場合保険会社が知らなくて、加入者が知っていることは「加入者自身の健康状態」
保険会社が知らなくて,保険に入ろうと知っている人が知っていることは,保険に入ろうとする人の健康状態。
本当は集めたくない不健康たちな人たちばかりが集まり,本当は集めたい健康な人たちが集まってしまう。→逆選択。



レモン:事故車のこと
車の状態は前の所有者の方が詳しい
情報の非対称性があると市場は消滅する
株式会社なんかもそう。

保険市場なら
告知事項:真面目にいうインセンティブを。
健康診断書の提出
急ブレーキ、急加速をすると保険料が高くなる→車に自信のある人しか付けない
スマホの万歩計:1日に何歩歩いたかで保険料が安くなる。
レモンの市場
車体番号による修理歴:1000円ぐらいでわかる。
クルマを売る理由:どうしてこのクルマを売るのですか?
理由は関係ないはず。でも,いや特に理由はないんですというとbad news. もう日本に帰らないといけないからということをいうと,クルマに不具合があることが理由でないとわかるから買い手にとってgood news.
車を売る理由は買い手に関係ないが、実は品質を示唆している
債券市場
格付け
金融業は情報の非対称性の削減活動
国債は金利だけを気にしていればいい。
倒産する確率がある場合にはその人がどんな人かを知る必要があるから。
広告もそう。
情報の非対称性削減ビジネスは儲かる
原発問題など、風評被害のコストは大きい
安全かどうかより、安全であることを信頼させるコストの方が大きい

情報の非対称性を削減するのが非常に大きなビジネス。
これを考えた人は天才だと思う。今でもよく使われていて,しかも有用。
モデルはこう。
自身のある人がメディアに広告料を出して,メディアが娯楽と広告をミックスして買い手に提供。買い手が売り手から買う。
関係ない人に情報の非対称性を削減してもらう
買い手に,そこにいくといい製品があるよということをいかに効果的に伝えるか。

どこにいけばいい物があるのかがわからない。
とりあえず探索コストが低いところから始まる。まずは近くのスーパー,駅前の文房具屋に行く。
立地が重要。

ネットだとあまり距離は関係ない。遠くてもいい。
ただ,見つからないとだめ。検索が重要。
検索で上の方に載ることを目指す
お互いに何かを探すというのの他に,あそこにいけばわかるというプラットフォームを作る。
自分しかいなければ人間関係は0。
2人だったら人間関係は1。
3人だと3。
4人だと6。
(shioも授業内でよく話しています)
自分を基準にすると,自分以外の人との関係はn-1人分ある。で,それが人数分あるから,nの2乗。

ハブ:自転車のタイヤの真ん中。
スポーク:自転車のタイヤの棒の部分。
スミスさんはイェール大学のビジネススクールの教授。
手形交換所、一箇所に集まるとコストが安く済むというシステム。

プラットホーム:真ん中の人。
B to B to C
C to B to C
そこにいけば情報が集まるという場所を作って,マッチングの際に手数料をとっていくやり方。

商品やサービスはちゃんと届くか?
評価制度:この商品はどうですか?ということで極端な評価が分かれる。t
ネットだけではなく昔からよくあったこと。
為替の発達してきた14世紀から。

NB:洗剤のアタック、コカコーラなどなら品質の不確実性のリスクはない。
PB:品質についてよく知らない。不確実。
ジェフ・ベゾス:amazonを作った人。
90年代前半に選んだ5項目
品質の不確実はない。
小さくて高価で、種類がたくさんある物。
情報の非対称性の削減方法
試用販売:1ヶ月はお試し期間
返品可:返品できます
フリートライアル:1ヶ月間無料
レビュー(口コミ)
フリーミアム:基本無料であるが、良いサービスを受けるために追加でお金を払う
evernote、slackも同じ。
ランキング:どれが一番人気か。評価の高いものなら間違いない。

相手が倒産するリスク。
本を注文するとコピーだったとか。不正ソフトだったとか。偽物ブランドだったとか。
問題点
現金10000円を12000円で売るみたいなのが流行った
転売
新しい仮面ライダーが始まったらベルトを大量に購入してクリスマス直前に一気に転売する人たち。
コンサートチケット
転売は何が悪いのかわからない
事務所が安く値段つけるのが悪い
解決策
代引き:ヤマトがやってくれるけど手数料取られる。
エスクロー:まず第三者にお金を預け、発送してOKが出ると決済される
評価制度導入
人による取引監視:コールセンターの人とか
ガイドライン違反の通報
コメ兵の鑑定サービス

ビックデータのマネタイズ
データがいっぱい出てくる。取引をしていると自然とデータがたくさん出てくる。
銀行はなぜお金を貸すのか?
元々貴金属の細工師
銀行の口座の振込。銀行は決済でやっている。
メインバンクのお金の動きが全部わかる。
その会社の1ヶ月の資金ぶ、1年間の資金ぶりの情報はとても価値があると思いませんか?その会社にお金を貸そうとする人にとってはとても価値がある。
銀行自身が自動的に生成される情報を利用してその会社にお金を融資する。→範囲の経済
範囲の経済とは
複数のビジネスを一緒にやるとコストが下がる。
セブン銀行は融資をしない。セブンイレブンで物流拠点のコンビニと金融のATMというシステムは相性がいい。
売掛金・買掛金
ツケで売り買いすること
なぜこれをするのか?
月末締めの翌月払いならわかるけど,翌々月払いとかある。しかも一般の人がやっている。
クレカのリボ払い
クレカの情報は、電気料金・ガス料金・生活費など全部をクレカ引き落としをやっていたとすると、ほぼ家計簿。
クレカ会社は有益な情報を手に入れられる
クレカ会社自体が融資をする。だからリボ払いを勧める。
サーチエンジン
購買行動その他は広告にいく。
情報は、情報の非対称性の削減のために使うから、融資or広告に使う。
その人が今何に関心があって、何を買おうとしているか。
SNSはカスタマイズされた広告
出身校、お勤めの会社に関係する広告が出てくる。
購買行動から生活習慣や健康リスクが読める。
お酒をしょっちゅう買っているとか。
やたらとランニングシューズを買っている人は、健康なんだろうなということがわかる。
AIスピーカーの盗み聞き
家庭内の会話をもし聞いていたら怖いですよね。
「トイレットペーパーが足りない」という会話からトイレットペーパーを買うことが予想される。

課題1
情報の非対称性が読めすぎることがない前提で成り立っている。
保険
自分が絶対にガンにならないとわかっている人は保険に入らない。
自分はガンになるとわかっている人には、保険会社は保険を売りません。
DNA情報がわかった場合に保険料はどうなるのか?
持って生まれた遺伝子のせいで保険料が以上に高くなってしまう。それはいいのか?
融資
破産確率が購買行動から正確に予見することができるようになると、融資が受けられなくなる。
社会活動を全て監視することができたら、融資の判断に使うことができる。でもそれはいいのか?
正解はありません。どう考えるのか?
水平線
市場(マーケット)⇆組織
組織:お勤め、市場:個人事業主
市場が海で、組織は陸地。
完全な資本主義と共産主義は両極端。現実社会では市場と組織が混在している。
市場の中にプカプカ浮かんでいる組織を考えると…

アダム・スミス「神の見えざる手」
パレート効率性
もうこれ以上win-winの関係を作ることができないことを、効率的という。
先生が目の前にあるワインを独占することがパレート効率性。
第1基本定理
政府が規制したりしなくても、市場が回って勝手にどうにかまとまるよ。
第2基本定理
難しいのでこれはいいですよ。

全ての情報を政府がまとめて、その情報を使って赤色のネクタイを何本作る、青色のネクタイを何本作ると決めれば最適。
ハイエク
共産主義はうまくいかないよ、といった。
当時は、共産主義は理想で資本主義はいずれ崩壊すると考えられていた。
「時と場所の〜」
お腹をすかせた学生がくるところで弁当を売れば儲けが得られる。これはローカルな情報。


現在では、「時と場所の〜」の情報をFacebookは知っているのではないか。
そうなったときに、市場経済と計画経済の関係はどうなる?中国共産党は中国国民の顔、生活様式を知っているのではないか?
「時と場所〜」最適な市場の仕組みが変わるかもしれない。
IT系産業が発達すると、権利どうこうが面倒な資本主義よりも、権利とか関係なくじゃんじゃん個人情報を使え!という共産主義の方が、IT産業の発達は早いのでは?
権利に配慮しなければコストがかかるから、政治体制としてはアメリカ、日本は中国、ロシアよりも遅くなるのでは?
政治体制はもっと中央政府に権力を持たせるべき?
香港のマスクデモ
マスクがなければ画像認識でデモに参加しているのが誰だかわかる。
だからこそマスクをするのですが。

産業革命によって飛躍的に生産性が上がったことは有名。
技術革新、イノベーションは結果でしかなく、そういう結果を生み出すための仕組みを作ったことが重大。
アダム・スミス『国富論』
分割してコーディネーションして働くこと、分業による協業、市場の中の組織、が産業革命によって生み出された。
その結果としてイノベーション。
分業の程度は市場の大きさで決まる。
先生が大学院で講義をすることで生計を立てることができるのは、分業だから。
市場の大きさは運搬コスト・通信コストで決まる。
川のそばは運搬コストが低い。
インターネットは運搬コスト・通信コストを劇的に下げた。場合によっては世界にも。
個人商店が勝負できる世の中になってきた。
先生のお友達のハンコ屋さん
分業がどんどん激しく進んでコーディネーションが進む。

分業が進んで、かつ、
Uber:自転車だけでなく、その自転車がサービスを提供する。
不動産は、今晩この部屋を利用する権利。
別荘も、最近はシェアをする人がいる。
カーシェア
働いている間に駐車場に置いてあったら、稼働していないからね。
自動運転で使っていない間にタクシー業をやって勝手に稼いでくれたらいいよね。
パートタイムCFO
財務の知識のある人が欲しいけど専任ではいらない。1人を5社でシェアする。
各社1/5で働いているから1社あたりの給料は少ないけど、トータルの給料は多い。
在宅秘書
子育て中の在宅の女性OKとすると、非常にハイスペックな人たちが集まります。教育を受けていて知識もある。
コーディネーションがポイント