なぜScrapboxはMarkdownを採用していないのか
(2019/8/14)
Markdownという
マークアップ言語がエンジニア界隈で広く使われている。もともとは
HTMLをもっと簡単に記述したいという意図で開発されたものだそうで、
<h1>タイトル</h1>
と書くかわりに
# タイトル
と書けたりするので、記述が少し簡単になるというメリットがある。太字(
<b>
)やリスト(
<ul><li>
)なども簡単に書ける。
Markdownに慣れたエンジニアがよく「何故
ScrapboxはMarkdownを採用しないんだ」と言ってくる。「Markdownを採用しないとか馬鹿じゃないの?」とまで言う人もいる。こういう人々は完全に
Markdown脳というか、自分がタマタマ慣れているものがサイコーだと考えているだけに思える。
Scrapboxのような
Wikiで一番大事なのは
ページ間リンクの記述であり、ここに
[
...
]
という単純な記法を使っているためMarkdownとは異なる記法になっているのだが、そこを理解せずに「ScrapboxもMarkdownを採用すべき」とか言われるのはとても困る。ScrapboxがMarkdownを採用すべきだと言うのならWikipediaもMarkdownを採用すべきだと主張してもよさそうなものだが、そう言ってる人は見たことがない。事情を考えず、自分が慣れてるものを採用しろと主張するのは思考停止でありゴーマンである。
そもそもMarkdownにはいろいろな問題がある。
外部ページへのリンクの記法が複雑である。 example.com
へのリンクは [example](http://example.com)
のように記述するのだが、 []
と ()
のような記号をこのとおりの順番で記述しなければならない。Scrapboxでは [example http://example.com]
と書けばよいし、 [http://example.com example]
のように順番が入れ替わっていても良い。
画像ページの記法はさらに複雑である。 ![代替テキスト](画像のURL)
または ![代替テキスト](画像のURL "画像タイトル")
のように書かなければならない。何故 !
が画像を意味するのかわからない。Scrapboxでは [画像のURL]
と書くだけでよい。URLが画像なら自動的に画像を表示してくれる。
Markdownでは同じサイトの別ページへのリンクを簡単に記述できない。これは
Wikiでは必須の機能である。
#
, ##
, などと書くと <h1>
<h2>
などのかわりになるという記法が好きな人は多いのだろうが、ちょっとしたメモを書くときに <h1>
だの <h2>
だの階層を気にするのは嫌だし、文中で大きな文字を書きたい場合は別の記法が必要である (e.g. ***abc***
)。Markdownには方言があるので、太字にしたつもりでもイタリックになったりすることもある。
Scrapboxではa = \sqrt b のような数式も書けるし、リンクの記述は簡単だし、太字やアンダーラインのような文字修飾も簡単である。Markdownが好きな人は数式はどうやって書いているのだろう?
Scrapboxはインタラクティブな
Wikiであり、Wikiを簡単に便利に使うのに適した記法を採用している。そこを理解したうえで議論していただきたいものである。自分がMarkdownに慣れているというだけの理由でScrapbox記法に文句を言わないでほしい。
はてブで
炎上したのでタイトルを変えました (2019/8/18)
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