Depth of Field
被写界深度(レンズボケ)を使った表現、あるいは「ボケかた」のオルタナ
「カメラから一定の距離範囲のみフォーカスが合う」という性質は、レンズを用いたカメラに特有のもの
ピンホールカメラ: 「ボケ量」は撮影素子から見たピン穴の視直径のみによって決まる。被写体の距離は関係ない
スキャナー: スキャン面からの距離が遠くなるほど、スキャンするバーに並行方向のみボケる(常にフォーカス距離: 0m)
「フォーカス距離から離れるほど、像がブラーによってぼける」という見え方は、人の目の仕組みに光学的には近い
>この「ピントを合わせる」という行為は、よく考えると不思議だと思う。なぜなら人は近視や老眼、乱視などによって肉眼でもボケた状態を経験してはいたとはいえ、「ピント」という概念とそれが外れた状態を明確に意識するようになったのは、望遠鏡やカメラなどの光学機器の出現によると考えられるからだ。健康な肉眼では、見るという行為とピントを合わせるという行為は一体で区別されない。
> --- 大山 顕. 新写真論 (ゲンロン叢書) (Japanese Edition) (Kindle Locations 2667-2671). Kindle Edition.
被写界深度の効用
「良い写真」風に見える(後述)
写実的かつリッチに感じられる
画面の情報量を整理し、主題となる被写体に視線誘導できる
ふつうに3DCGのカメラ設定でぼかす
きれい
時間はかかる
ポストエフェクトとしてぼかす
3DCGのレンダー時ではなくコンポジット時に深度マップを用いてぼかす
ゲームなどではよく用いられる技法
ボケ量を増やすとアーティファクトが目立つ
被写界深度を表現するためには、手前の物体の側面から回り込んでカメラに入射する、隠れた部分の色情報が必要
アンチエイリアスがかった物体のエッジ部分や、半透明なオブジェクトは深度マップでは正確に表現できないため
それを逆に質感として面白がる?
著名なエフェクト、アルゴリズム
After Effects
Camera Lens Blur
Frischluft Lenscare (FL) - Depth Of Field
コンピュテーショナル・フォトグラフィにおける後付けボケも同様の手法。髪の毛とか結構変
>今や、なぜポートレイトは背景をぼかすのか、という疑問に対しては、「そのほうがきれいに見えるから」といういささか循環論法的な答えしかない。写真指南書も、これに関して「どのように」というやり方は解説してくれるが、「なぜ」についてはまったく説明しない。背景がボケにボケたポートレイト作例を見せると、それを見慣れたぼくらにとってはいかにも「良く見える」ので、読者もその理由を問うことをやめてしまう。スマートフォン以前の時代のカメラなら、それでもまだ良かっただろう。良い具合にぼかすことと、カメラ・レンズの機構が密接に関わっていたから。つまり、道具がその表現を誘い、規定していたのだ。しかしスマートフォンのカメラは違う。ポートレイトモードのボケはあとからわざわざ処理して実現されている。その処理のために、さまざまなアルゴリズムが動いている。現在のスマートフォンが搭載している一見過剰とも思えるメモリは、写真処理のためにフル稼働している。つまり、このボケは無理してつくられている。道具から導かれる必然性はそこにはない。過去のカメラとレンズの性能によって生み出された表現を再現しているだけだ。
> 大山 顕. 新写真論 (ゲンロン叢書) (Japanese Edition) (Kindle Locations 532-543). Kindle Edition.
画像の平行移動を使ったDoF
デジタル的な二線ボケ
アナグリフ
3Dメガネをかけずとも、そういうルックのグラフィックとして使うのもアリかと
チャンネルのわけ方を工夫(黄 - 青, マゼンダ - 緑 など反対色)
2度違う視点から撮影(レンダリング)したものをチャンネル分離して加算する方法と、深度マップを用いてポストエフェクト的に視差を作り出す方法とがある(上画面は後者)
Spider-Verse
ディフューズでぼかす
ピクセルの平均を取って滑らかにぼかす代わりに、ボケ量に応じた距離だけピクセルをシャッフルする
深度マップを、ボケてほしくないところを黒、ほしいところを白にトーンマップする
使えるエフェクト: After Effects: GenArts - Sapphire S_Diffuse
ハーフトーン、ディザを用いても良さそう
サンプリング品質を意図的に低めたり、線の細いグラフィックを用いた際も、ボケに同様のグレインが乗る
深度マップそのものをビジュアライズする
アラン・ワーバートン - Z
高松和樹(Kazuki Takamatsu)
※エアブラシ, アクリルガッシュ
ソナー探査っぽい表現も出来る
線のみで表現せざるを得ないがために、独特なボケ表現ありそう
Why Spider-Verse has the most inventive visuals you’ll see this year!
Andy Duboc
超浅い被写界深度におけるフォーカス送り自体をアニメーションとして見せる
Yugop
ワイヤフレームのガビガビ具合を「ボケ」に見立てる