『Helping』
ヘルピング
支援学
Edgar Schein エドガー・
シャイン 著, 2009
邦訳は、『人を助けるとはどういうことか』
読書会で扱ったのは、身内メンバーで実施した2019.7-9月以来2回目
以下は金井訳で読みながら、必要を感じた際に原書にあたる読み方を、
じっくり読書会中に参加メンバーみんなで実施した際のメモ
被支援者は
ワンダウンの状態にある/なる/させられる
> (...)実のところ、広い意味での支援とは、社会の一員の間でやり取りされるうちで最も重要なものの一つだ。p.40
> Help in the broadest sense is, in fact, one of the most important currencies that flow between members of society(太字下線は
)
『人を助けるとはどういうことか』という邦訳版のタイトルから、どこか温かい気持ちになるような内容を期待して読み始めると、この辺りで怒り始める人もいるのではないか?みたいな違和感が
じっくり読書会中に出された
普段
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がこの本を原題で「
ヘルピング」と呼ぶ理由がこの辺りにたぶんあります
この節の名称は社会経済——支援という社会的通貨
原書は
Social Economics: Maintaining the Social Order
Chapter 2 内にある信頼の二つの要素という節の名称、
金井訳ではTrustは信用とも信頼とも訳されている(箇所によって訳が異なる)
この節では、Trust 信頼 の2つの要素の説明もあるが、全体としてはIntimacy and Trust 親密さと信頼(の2つの要素)の話なので、読んでいてあれ?となりました
どんな関係でも、当事者が相手を信用=trustして自分のことをどれくらい打ち明けるかに、親密さ=intimacyの程度が反映されている。(p.49)
そのままの相手を受け容れる
> 文字通り互いを受け入れることは、関係を維持し、深めるために不可欠な(邦訳第2版では「不可欠の」)プロセスだとわれわれは学んでいるのだ。p.99
の文字通りってどういう意味だろう?
原文は、We learn that accepting each other at face value is an essential process to maintain and deepen relationships.
accept ~ face value
で「額面通り」という意味のイディオム
「その言葉の通り、その見たままの通りに、相手をお互いに受け入れることは、2人の関係を維持するためにessentialなプロセスだと我々は知ってるよね!」的なニュアンスなのだろう
> 今度は、自殺防止ホットラインについて考えてみよう。おそらく最も困難なのは、電話をかけてきた自殺志望の人にできるだけ長く話させて、相手に自信を持たせるようなことを係員が言う時間を稼ぐことだろう。そうした質問の例として最も感銘を受けたものを、サイコセラピストをしている友人から聞いたことがある。彼の話によると、自殺志望の患者にこう尋ねたという。「あなたのすべてが自殺を願っているのですか。それとも、あなたの中には自殺を望まない部分がいくらかでもあるのでしょうか。ちょっとでいいですから、自殺を望んでいないあなたの部分と話させてください」。言うまでもなくこの目的は、自分にはもっといい部分、自信を持てる部分があると患者に気づかせることだ。p.119
この箇所の、
「あなたのすべてが自殺を願っているのですか。それとも、あなたの中には自殺を望まない部分がいくらかでもあるのでしょうか。ちょっとでいいですから、自殺を望んでいないあなたの部分と話させてください」
英語の原文の方が、なんだかグッときた
Does all of you want to commit suicide? Is there some little part of you that does not want to commit suicide? Let me talk for a few minutes to the part of you that does not want to commit suicide.
日本語だと周りくどいというかなんというか
説明調すぎてどういう意味かを受け取るのが難しそう。
『道との遭遇』という歩道車道バラエティにときどきプロギャルがゲスト出演するので、今度から
語彙を注意深く聞いておこう
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唐突に(おそらく)フロイトの話
> あるグループが進行役の提案を受け入れようとしなかったため、進行役はこう言った。「このグループは私を去勢しようというんだな」。この「心理学的なたわごと」に激怒したあるメンバーは、その後、どんなプログラムにも自分の会社を参加させたくなくなったのだった。p.140
「このグループは私を去勢しようというんだな」という
「心理学的なたわごと」は、おそらく
フロイトの術語を持ち出して、「グループが自分を
抑圧している」というようなことを言ったことによる関係へのダメージを解説していると思われます。
原文ではcastration
去勢不安 castration anxiety というがフロイトの論で出てきます
フィードバックは求められたものでないとhelpfulではない
> 一般的にフィードバックは、求められたものでない場合は有益とは言えない。p.195
原文は、Feedback is generally not helpful if it is not asked for.
有益に
helpfulを訳しているから、この箇所、日本語じゃわかりづらいけどちょっと駄洒落みたいだな笑 とか思った
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成果を出すチームのためには、
そこでは互いのことを
フィードバックし合う時間(プロセス検討会)が必要である、
という文脈で、
> ここまでのところを要約すると、チームのメンバーが支援者になる方法を学ぶには、互いが率直にコミュニケーションできるよう、社会規範が一時的に保留された状況が求められるということだ。pp.197f.
「プロセス検討会」と名付けられると、「過程や手順を検討する会」という受け止めをされる懸念があるなあ
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> 問題は、あなたが何をしようと、あるいは何をするまいと、いくつもの合図を送っているということだ。p.241
自身の(仮に何もしていないという認識でも発生している)
影響力の自覚。
読書会中のやり取り:
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「こういう影響力のトレーニングは、たとえば
管理職はどのくらい受けているもんですか?一般的にどのくらい知られているんでしょう?」
大手企業は少なとも知っているというか、一度は聞いてはいると個人的には思います
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知ったらすぐできるわけではないし、知ると意識をせざるを得ないから
合理的無知が発動して聞かなかったことにしたくなるかもしれない
流行ると耳に入り知っているだろうから、知っているならできて当然、と。
似ているというか思い出した話題
pp.242-244で示されるコツ11, 12, 13なのだとと解釈した
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> 心理学の考え方から、正の強化を行えば成功することが知られている。p.242
> 私のパソコンのインストラクターは、あらゆる行動を褒めてくれた。すでにマスターしたことが明らかな操作についても褒められると、私は苛立ちを覚え始める。わかりきったキーを私が打つたび、インストラクターは「すばらしい!」と言うのだ。私は内心でうめき声をあげていた。p.243
それなofそれな