開発の勉強ではなく開発をしろ
僕が大学時代に居た慶應SFC
増井俊之研究室にはこういう標語があった
これは当時すごく腕の立った先輩が残した言葉なのだが、その後僕の中でもずっと大きな意味を持っていた
大学のプログラミング系の研究室には、毎年結構な人数の学生が履修してくるのだが、その大半が「プログラミングの勉強をしたい」と思っている
逆に言うと、プログラミングがわからないから
プログラミング系の研究室に行こうという発想になるようだ
しかしこれはかなりの確率で悲しい結末を迎える
もちろん先生や先輩もプログラミングを学びたいという学生を無下にする訳はないので、わからないことがあったら丁寧に教えてあげるのだが、漠然と「プログラミングをやりたい」と思っているくらいの人は残念ながら「ソフトウェアを開発する」という技術を身につけることは難しい
なぜかと言うと、プログラミング系の研究室においてはプログラミングは目的ではなく手段で、プログラミングを使ってどんなソフトウェアを作るかが課題になる
そのなかで何をやりたいのかよくわからない人は、何がやりたいのかわからないので、何も作れずに去っていく
「プログラミングを身につける」ということは目標としてはあまり面白みのないものだ
少なくとも、何か目的がないかぎり学ぶにしてはおもすぎるし、難しすぎる
プログラミングを学ぶための教材はいくつもあるが、プログラミング「だけ」を身に付けてもうまくは行かない
プログラミングを真に身につけるには、ソフトウェアを作るしか無い
プログラミング「だけ」を学んでいる人と、どんな粗末なものでもソフトウェアを作っている人では練度の上がり幅が全く違う
ソフトウェアを作って発表するだけで、他の人もその人に興味を持つし、教えたり教わったりという関係性もできていくだろう
しかし開発の勉強をしても開発をしない人は、開発をしている人からは関係を作りづらい。はっきり言うと友だちになりにくいのである
もっというと、開発の勉強をしたい人は開発の勉強もできないのだと思う。作りたいものが無いから。
ソフトウェアに限らずどんなものでも、作ってみないとわからないことは沢山ある
座学など、過去にやってみた先人たちの記録に過ぎないので、やってみてから知るくらいで丁度いい
くれぐれも開発の勉強ではなく開発をするようにしたいと思う