正欲 と訪問販売
桐島部は原作も読んだ気がする。
何者は映画だけかな。久しぶりの朝井作品だったけど、こりゃ本で買ってもいいかなレベルで面白い
のっけから誰から誰へのメッセージやねんというところからはじまって「明日死なないためにニュースをみる」というところから、謎のペドフェリアのニュースがあって、人々の日常の話がはじまる
寺井は
検事という仕事柄なのと、引きこもりの子持ちってところが自分からはちょっと遠くてあんまり感情移入できないけど、子供向けの
デマゴーグの話は子を持つ親にはゾッとする話だろうし、
NPO だかなんだかの男がが子供たちと遊んでいるという描写から冒頭のニュースを連想してイヤな予感がする
桐生は、性別こそ違えど同年代といった感じがしてちょっと共感できる部分もあるんだけど、布団屋の店員がここまで達観しきってるというか、身の回りに注意を払っているんだなあ、という描写にややゾッとする
まだ関わりははじまってないけど、食品メーカーのササキ....「アッ!」というとこまできた
神戸は女子大生で遠い存在に感じるけど、自分の容姿に自信がないという部分は共感できる....が行動や言動がちょっと聞いていてつらく、この後イヤな目に遭ってほしくない.....と祈っているが、モロボシ....「アッ!」
本当の多様性社会はそれなりに不愉快 - taizoooをめちゃくちゃイヤ〜〜〜〜な書きぶりで書かれている感じがあって、かな〜りキツいが、
20190501に一体何が....? 元号が変わるタイミングだっつーのはわかってるけど....ってのと、この語り部たちが邂逅していくのか....? というあたりが推進力になっていて普段聞きのラジオをストップしてまで聞いてしまっている
でまあ、今のところ3人だけど、それぞれがそれぞれの理屈や想いを持って生きていて.....ってのはなんか朝井さんの描く人々が本当に瑞々しくて、見てきたメソッドで書いてるんか??とおもってしまうぐらいリアルで怖くなる
自分の中の恐怖心のひとつに、知能を持った個がたくさん群生していて、各々が各々に生きていることを想像すると自分が卑小な、粗末な存在に感じて怖くなるというのがある
本作では3人しか出てきてないんだけど、こんな解像度で描かれるとソコのツボが刺激されて怖くなってくる
そして、作家はこの3人をやや突き放したように描いている気がしていて、そして自分は突き放されたうちの1人のように無駄な思考をしているだけなんじゃないか、とつらくなってくる
で、全く話は変わるんだけど
NURO の訪問販売がやってきて「ネット遅くないですか?」みたいなぼんやりした売り文句できたのでとっとと追い返せばよかったんだけど、なんか訪問販売きた時に無碍に断る心理コストが重くて「一応話は聞いてみるか...」みたいな温度感で接してしまうことがちょくちょくある。そして今回も魔が差してしまった
だいたい向こうも売れなきゃ Lose だし、こっちも話を聞いてる時間が無駄なので Lose で Lose-Lose なんだけど....分かってはいても断る心理コストが.....
前に家の外壁を売りに来た人がどっからどう見ても新人というか、実際話を聞いたら新卒だったんだけど、なんか途中から諭す感じになっちゃって「どうですか?外壁のリフォームとか広告で見たり考えたりすることありません?」ってきたので「どうです、ウチ築何年に見えます?」「ええっ...結構新しそうですよね....」「そうです、新築なんです」「はあ」「新築で外壁変えたいとおもいます?」「思わない...ですね...」的な...
ただなんかすごいエネルギッシュな人ではあったので、面白半分で「どうして外壁の会社入ったんですか?」と水を向けたらなんかまあいろいろ話してくれて「最初は外回りからいってこい、みたいな社風で...」的なことを言うので「今までこの感じで売れたことあるんですか?」と聞いたら「いや...まずマトモに話を聞いてもらえたのはじめてで...」と
なんか老婆心で「こういうことを教えてくれない会社なんだ〜ってのはさておくとして、せめて自分の目で見て外壁に問題を抱えてそうな家に目星をつけて、そういう家から重点的に回ったらどう?」的なアドバイス厨をカマしてしまった...なんか本人は「やってみます!!」つって去っていったけど...
まあ在宅オジサンなのでたまの訪問販売は数少ない社会とのタッチポイントなのかもしれない...
ちょうど桐生の章で2Cの販売員の視点を知ったのもあってよりなんか無碍にしづらく...
そしたらなんかハナからナメくさってるというか....最近ネットの売り込み(
イッツコム、お前のことだぞ)と電気の売り込みが本当にヒドくて、共通してるのはまず名乗らないんだよな
今日も NURO の名札を下げてるので「はあ NURO の勧誘かあ」とおもったわけだけど、まず社名というかサービスを名乗れよな
電気なんかも「いま幾らですか?」「ウチの方が安いですよ?」的なテンションできて、名乗らないんだよな、電気は電気で条件がクソ狭いのでむちゃくちゃ探しに探して今契約してるから、飛び込みで「ハァ、いいですね!」とはならねえのでとっとと断ればいいんだろうけど...
「携帯回線は何ですか?」「
IIJです」「は?」「まあ、{
au,
docomo}回線みたいなもんですが...」「じゃあ!{au, docomo} の抱き合わせのプランで安くなりますよ!!」ってアホなんか
IIJ には申し訳ないけど、飛び込んでくる連中には知名度ゼロっぽいのでがんばってほしい...
今日はとにかく「ネット遅くないですか?」の一点張りで「いや
10Gの線引いてるんで全然遅くないっす」と答えても「いや
1Gの線しか引けてないですよここ」などとぬかしてきたので「いや実測で1Gは余裕で超えてるんで...」と答えると「10Gの契約してても30Mぐらいしか出てないことありますよ!」「ちゃんと10Gの回線引けてるんで...」「10GB出てるのはオカシイですよ!今ここでスピードテスト開いて見せてくださいよ!これは理論値なんで〜」「へえ?じゃあおたくの回線だったら理論値出るんですか?」つったら2人組が「(アッ!コイツめんどくせえやつだった!)」みたいなアイコンタクトをして、詫びカードみたいなの渡してきて去っていった
詫びカードを読んでみると「ご案内時に不快な思いをした」「誤った案内をされた」「正しく社名を名乗らなくて不安」このような時はお電話くださいなどと書いてあったんだけど、マジで全部だよ!バカ!!っておもった
世話になってるサービスならまだしもなんで通り魔みたいなことされててめえの会社の営業の手伝いのための電話に時間を割かされねえといけねえんだよ!!カス!!二度とくんな!あとポスティングもやめろ!!
なんかこう、世情として「安ければなんでもいい」「自分が得をすればなんでもいい」みたいな風潮が以前からある気がしていて、もちろん自分個人 or 家族のことを考えたら得をするような選択をしていくのがミクロでは最適解なんだけど、それを突き詰めていった先はどうなるとおもう?みたいなことを考えてしまって自分の中でせめぎあってしまう
接客業の人から痛客の話をたまに聞くんだけど「
PS5の転売マジ儲かるよ、転売しないやつはバカ、現代では賢い稼ぎ方をしている人間が成功する」的なことを臆面もなくドヤ顔でマウントとってくる奴がいたらしくて「うわ〜〜〜〜うわ〜〜〜〜最悪の最悪だ〜〜〜」とそこでは意見が一致して嬉しかった
まあ他人の渡世なぞどうでもいいので勝手にせい(PS5 を買う予定は別にないし)とはおもうが
また
東京ポッドの話題なんだけど、タツオさんがレジのオペが煩雑すぎる件をキレてて、そうそう、レジのオペって「自分が得をすればなんでもいい」の極致のひとつの形だよなあ、と前からおもってたのでタツオさんのシャウトにややスッキリした
「ポイントカードありますか?」「つくりますか?」「クーポンありますか?」「支払い方法は何にしますか?」全部バカバカしいと感じる
ポイントなんて企業がてめえの購買履歴に数円だか数十円の価値がある、マーケにも使える、ってのがミエミエだけど、個人というミクロからしてみたらチリツモでキャッシュバックされるわけなので得してるように感じるが、結局マーケティング費用として価格転嫁されているはずなので得しているようで結局トントンなんじゃないかとおもう
支払い方法にしてもあまりに多すぎるし、それぞれがそれぞれに得だと考える手段で支払いたいがためにクソ煩雑なフローを踏まされているわけで
でもこうして知ったか風の世の中を分かったような語り口は桐生や神戸のソレと似ている感じがして、なんだか自分がイヤになる
とにかくポイントの類は面倒くせえので「ダイジョブデース、カードデー」を唱えてたんだけど、ある日
マツキヨのレジでいかにも人懐こそうな女性の店員に「兄ちゃんアプリいれてへんの?調剤とかで使わない?」と謎に踏み込まれて、剣幕に気圧されて「い、インストールしていますが...」と返してしまい「ちょっと開いてみしてみーな!ほら!クーポンあるやん!使わなもったいないで!ポイントもつけといたるからさ!」と慣れた手つきでクーポンやらなんやらやってくれたことがあったので、それを機にマツキヨではポイントがつくバーコードを提示するようになってしまった
同様の事例として、最近ファミレス等飲食店では無人会計ができるとこがちょくちょくあって、そこだと自分のペースでポイントのコードをスキャンして会計まで済ませられるので、それならいいか...と信念を折った
こうして少しずつ信念を折っていくんだろうなあ、人生とは....
今
宮台真司の言葉を引用するのはやや憚られるけど、それでも
デイ・キャッチでよく「
損得野郎」と罵っていたのをよくおぼえていて、そういう損得野郎になりたくない気持ちはあるというか...「俺は
ふるさと納税で得してるぜ」とかドヤ顔で言ってる奴はワックだとおもうし、岸田の恩着せがましい
定額減税の狂乱はみていてクソくだらねえなとおもう
素朴に考えると、円買い介入をしてんだから相当含み益が利確されてんじゃね?それを還元してくんね?とおもってしまうのだが、なんかそれを唱えている人たちの名前を読むと「あぁ...」と思い直したりする
NURO や、電気の飛び込みをしてくる連中は追い払えるけど、お国と意見が合わねえ時ってどーしたらええの〜〜?と毎度おもうが、かといって他にめぼしいプロバイダもないしな....と結局現状維持を選んでしまう
でもなんかそれってもう
ネイションじゃないよね、とおもってしまう
特に刀狩り状態の我が邦では暴力装置の独占という最強の権力の源泉でもって統治している感があるが、フィクションでたまにあるみたいに
北海道や
九州あたりで武装蜂起して核武装して独立を宣言したらどーすんの?みたいなことはおもう
そこまでなくてもいいけど、例えばハイパーテクノ特区みたいなとこがあったらちょっと住んでみたい
コンビニは全部無人、飲食店は配膳ロボと無人決済、現金は廃止...みたいな....
正欲の3人は、今のところ自分と異なる価値観や思考の他者、ひいては世界とどう折り合いをつけるか、というような話をしているような気がする
そういう意味ではゾーニングをしたいということになるのかなあ、でもそれが行き着く先はリバタリアン的な思想な予感もする
同じ言葉を話すからといって、似た生活、文化だったとして、それはもう共同体足り得なくなっているのでは〜と
百鬼夜行シリーズにおいて、昭和にいる中禅寺があまりにも共同体が解体されてしまったと嘆いていた(?)が、自分は手放しに共同体主義者ではないものの、この現代日本の寄る辺なさにはおもうところがなくもない
かつてはテクノユートピア的な思想を持っていたけど、
Web 2.0 が崩壊して(私の中で)、もうなんか全然希望を抱けなくなってしまった
分散によるガバナンスみたいなことも夢みたけど、世界はあっという間に生成に興味が移ろって、
Gox しかニュースにならなくなった(
DMM)