さわちんのナレマネ事例
この資料は
ネットプロテクションズ(以下:NP)で、
ほぼ一人でナレッジマネジメント(ナレマネ)を推進してきた
さわちん(以下:
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)とその事例のご紹介資料
目次
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のご紹介
NPのご紹介
NPが向き合ってきた組織課題
組織課題を
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がどう解決してきたか
Appendix)NP内部をチラ見する
かなり詳細に、かつ幅広くさわちん
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のお話をする
深くお話できるテーマを想像してもらうため
知識は広く深く集めてきたが、「
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が実際にナレマネしたこと」は一部
本項ではNPのナレマネの中心にある「
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の志向性」を理解する
組織作りを研究してきたさわちん
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基本的な情報
2012年 慶應義塾大学理工学部入学
2016年 (株)ネットプロテクションズに新卒入社
2017年 Marketing Groupに配属、Digital Marketingの企画と実行に注力
2018年 新卒研修担当として研修を実施
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Slackを全社導入
2019年 DataScience Group立ち上げのため、Marketingと兼務開始
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Scrapboxを全社導入
2020年 「社員誰もが意思決定にDataを用いる会社」を目指しDataScience Group専任に、
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の性格がわかる情報
ストレングスファインダー
2016年(入社直前) 2020年
1. 学習欲 1. 学習欲
2. 戦略性 2. 個別化
3. 個別化 3. 達成欲
4. 成長促進 4. 成長促進
5. 活発性 5. 原点思考
研究テーマはUI/UX。の中でも「モチベーション」
「動機付け」はじめとした人間特性・心理学の論文を読み漁り原理原則を学びながら
「ゲーミフィケーション」「リコメンドシステム」といった実証事例を勉強し
独自UIを自分で作成し周囲のメンバーに提供していた
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はゲーマー。ゲームの面白さを「仕事」に持って来ようと日夜考え、NPで実験している
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はNPのナレマネ文化を作ってきた
具体的にやってきたこと
(2016年 1年目)
Sales Groupにてアウトバウンドリストを全自動で作成するアプリを自作
Marketing Groupにて人手不足解消のため学生インターンを採用→育成
(2017年 2年目)
Sales/Marketingを科学するため形骸化していたSFAをゼロから作り直し
属人化していたMarketing Automationの活用を組織かすべくシステムをフルリプレイス→新運用構築
(2018年 3年目)
新卒1年目の研修担当としてスキルアップ施策をゼロから全部作成
例)
「全社員ITリテラシー向上」のために新卒22名全員へのIT研修のLeaderを担当
全社のナレマネインフラとして
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Slackを導入
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のScrapbox (
/inteltank)に、スキルアップコンテンツを蓄積し「新卒の独り立ちスピード」を上げ始める
社内の技術力UPのために「エンジニアに特化した新卒採用PJT」を発足、リーダーに
(2019年 4年目)
DataScience Groupを立ち上げ。
Datalake(統合Data基盤)の構築始め「全社でのデータ活用」を戦略的に推進
全社のナレマネインフラとして
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Scrapboxを導入
(2020年 5年目)
DataScience Groupにて、IT/Data Science研修を全新卒に2ヶ月ずつ実施
研修を新卒全員(35人)に2か月ずつ実施
他にやっていることは
re:Work(社内労働環境をITで改善)のリーダーとしてProjectを5個くらい
人財発掘(理系院生,海外メンバーの採用)のリーダー & 理系院生との面談者として動く
DS GroupのLeaderとして所属メンバーのPJT推進フォロー
Datascienceしたい部署でのサポート
一次面接官
そのほか色々
ナレマネの集大成である「
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・
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の導入」は、登壇したり,記事になったりした
他にこんな登壇もしてます
NPのご紹介
ナレマネや育成といった組織づくりに万能薬はない
理想の組織は、人や事業に合わせてカメレオンのように変わる
NPの組織づくりがどの会社にとっても理想とは到底思わない
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のナレマネ事例は「NPの事業/人(と組織)」に合わせた施策
そのまま参考にすると痛い目を見る
本項ではNPの事業と「採用/組織づくりにおける制約条件」を理解する
NPは決済をゼロから作り直した常識外れの会社
同じ業界にいるのは古くからの大企業
例)VISA, 三井住友, 大和証券
決済にて「どこもやっていないビジネス」を始め、ユニークさに磨きをかけてきた
事業をユニークにしていたら、
採用する人もユニークになり…その人たちに合わせて組織もユニークになった
NPの基幹事業「NP後払い」のユニークさは2点
性善説が中心にある前代未聞の金融事業
たった1社で全ての決済プロセスを代行
「NP後払い」は性善説が中心にある前代未聞の金融事業
サービスリリース当時、世の中に「ネット通販における商品代金の後払い」はなかった
銀行/証券といった金融業界の既存のビジネスと切り離してゼロベースで作り上げた
取引先に求められたのは「黒子」であること
NP後払いの審査のためだけに「購入者様に手間かけて追加情報を入力いただく」ことはできない
「後払い決済」だから発生する料金未回収リスクを下げる上で、銀行はじめとした従来のリスクコントロール手法は全く参考にできなかった。
できたのは「まずは利用してもらう。もしどうしても支払っていただけなかったら今後の利用を禁止する」という性善説な審査スキーム。
「確かに加盟店からも購入者からも望まれるサービスだけど、絶対未回収が膨らんで利益が生み出せないよ」と言われながらもサービスリリース。6年の投資期間を経て、日本で唯一の「後払い決済代行事業単体での黒字」を成し遂げた
たった1社で全ての決済プロセスを代行
決済は、支払いタイミングに合わせて「前払い」「その場払い」「後払い」がある
NPも該当する「後払い」の中には、クレジットカード払いも存在する
クレジットカードだと「三井住友+VISA+クレカ利用者獲得のための会社+クレカ導入店舗を増やすための会社…」と複数社で分担して決済システムを提供している
NPは全て1社でやるため部分最適を防ぎやすく、低料率で高品質な決済事業を提供することができている
世の中にないビジネスをみんなで作る
ビジネスモデルが前代未聞だから、「必要な方にきてもらい,長く在籍してもらうための組織」も他社の真似ではダメで、ゼロから作っていくことになった
部分最適を産むと競争優位性が失われるから、「全社員に事業/会社全体を俯瞰した視点」を必ず持ってもらう必要があった
正社員に求めるのは経営企画とその達成
前代未聞な決済事業は「(一部の優れた人間で)優れた戦略が作られれば、育っていく」ものじゃなかった。
請求書のデザインといった現場の小さな意思決定が、他の要素に大きく波及していく。
1部署の1施策であったとしても、事業全体を,会社全体を捉えながら実行しなければうまくいくことがない
事業/組織/人の成長のために「情報共有」「機会提供」を意識してきた
事業,仕事は総合格闘技
バッティングセンターで好成績でも、試合で好成績と限らないように
経験なくして高品質な意思決定はできない
未経験でもチャンスを
機会,情報収集に使える時間には限界がある
ユニークなもの(高コスト,希少生高)は一部の人にしか経験させられない。
ユニークなものは会社としても重要な施策。全くの初心者には任せられない
経験機会を誰でも得られる。他者のナレッジを用いて高い成果が出せるのが大事
NPが向き合ってきた組織課題
組織づくりを20年。今までも、今もずーっと苦悩しながら試行錯誤している
全社員が経営視点を持てるように組織を変えてきた
特に、「情報共有」「機会提供」を大事にしてきた。
本項では「NPの組織の歴史」を理解し、抱えているナレマネ課題のイメージをつける
NPの組織づくりの歴史
(2007年)
会社の中核人材を求めて新卒採用を開始
新卒の視座が低く止まらないよう、入社直後に6か月の研修を実施
(2012年)
1年にわたる全社員でのVision検討を通してMission/Vision/Valueを策定
理念に合わせた新卒採用,新卒研修に更新
2,3年目への研修, Manager研修も実施
(2016年)
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が入社
事業がどんどん増えてきたり、国内他拠点の検討も開始。多様な働き方,成長プロセスを実現できるように
風土が落ち着いてきたため、どの事業/部署にも安心して新卒が送りだされるように
(2018年)
全社員の20%の新卒が入社しManager層が不足。常に疲労困憊。
人事制度を大幅刷新。「自己の成長」よりも「お互いに支え合う」ことを願った評価制度へ
社員数が120人突破、情報共有が追いつかず全社が見えにくく
オフィス移転。雑談/対話を増やすべくフロア/建物数を減らし、独特のレイアウトに
(2019年)
Slack,Scrapboxを
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が導入。働き方が一気に変化
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,
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によるバーチャルオフィスを前提に社内がどんどん変わっていく
(2020年)
コロナに合わせてフルリモートワーク推奨へ。問題なく移行
社員200人弱でも風土崩れず、一人一人が全社を見ながら仕事
2018年頃のNPが抱えていた課題
キャッチアップのスピードとコスト人数が数百を超え業務が高度化し、広く深い事業知識が必要となった。ゆえに「高い成果を出すにはまず数ヶ月~数年は会社の理解・キャッチアップが必要」となっていた
決済は社会に情報が少ない事業領域であるため社内育成が欠かせず、MTG中心のコミュニケーション/情報伝達を行っていた。新しいメンバーが増えるたびにレクチャーを全部やり直していた
新規企画の数と質事業/組織を少人数で長く運営してきたため、暗黙知が大変多かった。業務に取り組む上での地雷が数え切れないほどあり、新規企画の立案者がめっきり減った。
Managerの負担暗黙知は「仕事ができる人」がたくさん持っているもの。事業が進む(=できる人が進める)と組織が育つ(=新しい人のできることが増える)がトレードオフになっていた。
「ベテランはレベル上限に達していて他の人に経験値を渡したい。しかし機会譲渡・権限譲渡が難しくて、結局自分でやっちゃう」
「機会が新入りに提供されても、ベテランだけが持つ暗黙知が多すぎて…まず初動が難しい。初動できたとして…質向上のためには相談/壁打ち回数がかなり必要になるため、育てられる人数に限界があるし育成意識が高い人以外育成する気がなくなっちゃう」
2019年の「
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/
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導入」による組織課題のBefore→After
キャッチアップのSpeedとCostBefore:数十時間のレクチャー,OJT と 数ヶ月にわたるMTGの傍聴
After:
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を1週間読む。読んだ内容をもとに数時間質問/議論する
新規企画の数と質Before:新卒の企画は無知ゆえ荒削り。ベテランは忙殺されていて1つの企画に数ヶ月かかる
After:新卒が自発的に
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で深い知識を得て、Sandboxで検証。筋の良い企画が数週間で。
Managerの負担Before:部署間調整・業務分担・育成。一人で回らず常にどれかが不十分。メンバーにはサバイバルが強要される
After:
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、
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を通して若手同士で部署間調整/育成/業務分担を遂行。Managerはサポートに入るだけ
部署間の調整のしやすさBefore:作り込んだ企画がひっくり返されないように、関係者に事前根回し。調整だけで数ヶ月かかることも
After:PJTの経緯や他部署の関心ごとが
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でフルオープン。関係者を各個撃破せずとも、受け入れられる企画を作れるように
ここまでで「
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が理想とする組織」「NPが抱えていた組織課題」を追ってきた
本項では「どうやって
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が解決まで持っていったか」を理解する
組織課題に対して
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が行ったこと

Netprotectionsでの働き方に無駄がたくさんあると感じていた
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三年働く中で「働き方の理想」が
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に見えてきた

社内の声を広く,深くヒアリング。業務ツールを
全て触ってみた。

ナレマネの戦略/企画/計画を立てて、経営陣の賛同を得た
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のナレマネ施策が「働き方のつぎのアタリマエ」として
愛し,支持されるよう全社浸透戦略を立てた
戦略の準備/実施を
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一人で行った。

を導入し、少しズレて

を導入した
準備に半年, 浸透に1年かけて、2020年の今、NPの働き方の中心となっている
(補足)

ヒアリングとツール検証にたっぷり時間をかけた
「
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の理想」はNPに合っているか?を数ヶ月議論
チャットツール,情報共有ツールだけじゃなく、タスク管理に, ワークフローも検証
ツールは単体で使われない。組み合わせを意識して何パターンもシミュレーション
導入しても、使われてみんなに劇的な変化が生まれなければ意味がない
ここから、SlackとScrapboxを2つに分けて「社長稟議→全社導入」のプロセスを紹介
基本的には
1. 経営陣には「基本オープン」「集合知を作る」という点で賛同を得た
2. 全社員は気軽に使い始め、楽しく使い慣れていけるように、ゲームのようなチュートリアルを複数パターン用意した

Slackの導入プロセス
経営陣の賛同を得たところ
全社導入での工夫

Scrapboxの導入プロセス
経営陣の賛同を得たところ
>Scrapboxはもともと誰か一人が研究に使うために作られたそうですが、これをNPに導入すればきっと「集合知を作る」という世界観の実現に近づくことができる。本来自分の脳内でしか思考できない人間が、ナレマネのプラットフォーム上から他人の脳内を無意識的に借りて思考を進めることができるようになる。いろいろな人が持っているいろいろな知識や経験、そこから派生して昇華された価値観などがダイナミックにつながっていき、新しい考えが次々に出てくる。これは革命級にすごいことだと、ワクワクしながら導入を決めました。
Appendix)NP内部をチラ見する
最後にNPで実際にどのように普段コラボレーションしているのかをチラ見
著作権を意識して「
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が作成した資料」のみの共有
01-ナレッジ共有_さわちんがCFn_templateを作る流れ.pdf
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が作ったナレッジ資料
CFn_templateとはNPの開発スタンダードになっている「AWS」でよく使う機能
インターネットにも社内にもナレッジがなかったので、
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が作ったナレッジ
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自身が数週間かけて試行錯誤した内容が
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にlogとして残っていたため、logを取捨選択して1つの資料に
02-ナレッジ共有_FBをもらうときは症状をしっかり伝える.pdf
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謹製の「FB(フィードバック)のもらい方」の資料
従来は数ヶ月~1年かけて「相談の仕方」「ファシリテーションの仕方」を身につけて行っていたものを言語化
NPでは社員同士,インターン生同士で「先輩に壁打ちする前に絶対これは読め!」と勝手にシェアされている
03-議事録_rework_champ_2020/11/23_champ全員集合.pdf
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がファシリする会議の議事録
相談事項は「

」として事前に記載。参加できない人は事前にコメント記載
Scrapboxでは誰もが自分のアイコン(私だと
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)があり、自分の意見の後ろにつけてワイワイする
オンライン実施の会議。「
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がファシリをし、他メンバーは
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に記載して答える/意見を述べる」スタイル
04-検討ログ_Zapier導入.pdf
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が社内で使いたかったSaaS「Zapier」の導入検討資料
NPのセキュリティ基準, SaaSが持つセキュリティ機能を調査しメモしている
2019年時点は導入不可となったが、NP/SaaSに変化があれば「導入可」となるためたまに見返して「今だと導入できる?」とcheckしている
05-日報_sawachin_2020/4/7(火).pdf
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の社内日報
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はData Science Group所属だけど、採用/育成/社内ITとさまざまに手を出している
関係者は「
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は普段何やっているんだ?」とわからない
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の日報を見て「私もこの件やってるので協力し合いましょう!」と声かけてもらえることも多い
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はちょこちょこ「使えるTips/アプリ」を編み出しており、それを日報で共有している
半期に一回の評価面談前は日報を振り返って「実績」の洗い出しをしている
06-作業log_datalake-ccs-properのSageMaker_Instanceをreset.pdf
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の「システム設定変更」の作業log
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は8,9割の仕事は作業logをとっている
全く同じ作業が以降発生した時に、そのままマニュアルになる
もし失態をした場合に、原因調査が迅速に終わる
作業logでは「実際の作業」だけじゃなく目的の整理,手段の検証など関係するものは全て記載している
ScrapboxとSlackのコラボレーション
Slackの特定のchannelに、「Scrapboxで今書かれた内容」が通知される
全社員に、channelを見て「あ、これ興味ある」と思ったものを見に行く習慣がついている
Scrapboxに書かれた全ての内容は
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#notice_scrap
に通知
記載者が「この内容は重要」と思った内容は厳選されて、
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#003_scrap_everyday
に通知
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#notice_scrap
は量が多くて読みきれない
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#003_scrap_everyday
にはあらゆる議事録が通知されるので、普段はこのchannelだけみんな見ている