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『オデッセウスの鎖』
人間に、なぜ「個体の生存自己利益にむしろ不合理にはたらく感情があるのか」ということに関する本。

たとえば、
復讐は何も生まない。受けた被害はサンクコストだ。そう考えれば、たいていは“やり返す”ことによって利益が増すケースはほとんどない」ということは分かっているのに、怒りは吹き上がる。
誰も見ていないのに、決まりを守らないと怖くて気がすまない
? 嘘をつこうとすると赤面する
分け前が極端に不公平取り引きなら、そもそも取り引きにのらない。

ゲーム理論における囚人のジレンマなどの状況のように、人がである方が長期的に見てメリットの多い行動や選択肢がある。

しかし、もともと「利己的なサル」として順に進化してきた私たち(ヒト)には、短期利益理性計算だけであらがうのは難しかった。

⇒そこで脳内会議というか脳内多数決のシステムの中で、「そんなことをするのは、後々まずい!」という感情の発生する個体が選別された。

自分を、短期的な誘惑から、長期的な利益を目指すコースへ「縛り付けてくれる力」。

ゆえに、むしろこういう感情があることで、長期的なメリットを選びやすくなるし、裏の顔がバレにくくなる。自由意思(≒理性)だけでそれをなそうとするよりも。

(ちなみに、復讐というのは、抑止力だ。そういう評判があれば、そもそもカモにされることがなくなってくれて、「長期的には」対応コストが小さくなる)


葛藤は生まれるが、葛藤が起きすらしないよりは“自由”に行動を選択できる。