> 組織進化論の発見の一つに、「適応は適応能力を締め出す(Adaptation precludes adaptability.)」というのがある。過去の成功への過剰適応(overadaptation)だといってもよい。恐龍がその一例である。太古の一時期、この生き物は、生理的にも形態的にもある一定の環境に適合していた。しかし、その環境に適応しすぎて、ついには気候とエサとなるものの変化についていくことができなかった。日本軍は同じ罠に陥ったのである。過去の成功に過剰適応して、変わりつつある新しい環境の中でそれらの成功要因を「学習棄却(unlearn)」することに失敗したのである。(『知識創造企業』248頁)