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西洋の美学・美術史(’24)
第01回 美学の成立――感性的認識の学から芸術の哲学へ
美学は近代ヨーロッパで誕生
1735年
バウムガルテン
ライプニッツの系譜
知性の働き方を律する論理学(ロギカ)
感性の働き方を律する美学(エステティカ)
直接的には感性の学
知性偏重の心理学、感性を誤謬の源泉とみなすプラトン主義から感性を解放する
感性にも論理がある
カント『判断力批判』
美(についての)学は存在しない
あるものが美しいか否かを概念を通して論証することは不可能
主観のうちに生じる「快不快の感情」を通して判断されなくてはならない
エステーティッシュ
感情的
シェリング
芸術の本質を哲学的に明らかにすることで、芸術の歴史、芸術の諸ジャンルをも体系的に論じる道を開いた
ヘーゲル
美学講義
対象は美しいものという広大な領域であるが、より的確には技術であり、それも美しい技術(としての芸術)である
美学は本来的には「芸術の哲学」と呼ばれなくてはならない
美学の字義通りには「感受作用の学問」を意味し、芸術作品を「それが生み出す感情」とのかかわりにおいて考察するに過ぎない
芸術美と自然美の関係は両者を生み出す精神と自然の関係に等しい
「芸術は自然を模倣する」という伝統的な見方、すなわち自然を芸術の規範とみなす立場を逆転して、芸術美こそが自然美にとっての規範であると主張
芸術を知ったからこそ自然美が分かる
絵や詩で描かれることでそれを美しいと認識する
ヘーゲルの美学は多かれ少なかれその後の美学のあり方を規定
20世紀中葉まで支配的
フェヒナー
19世紀後半の新たな潮流
カント、シェリング、ヘーゲルに代表される「哲学的美学」を「上からの美学」と呼ぶ
「下からの美学」を提唱
データを元に判断する
概念から出発しない
心理学に依拠する「経験的美学」
20世紀における実験美学の先駆
フィードラー
美学から芸術論を峻別
直観的世界を前にして、言語的認識は言語という媒体をとおして感性的世界を抽象化し、客観的認識を成立させる
だが、まさにこのゆえに、言語的認識は最終的に直観的世界を離れざるをえない
芸術はあくまで直観的世界にとどまりつつ、「直観的意識」をさらに「展開」する
造形芸術であれば、描くという手の働きをとおして、直観的世界を離れることなく、見ることをさらに「展開」することができる
hysysk 1行でもいいからコードを書くという話にも繋がる
どちらが真実というのではなく、それぞれに違う認識があることを理解する
芸術は言語的認識とは異なる独自な認識
デッソワールとウーティッツによる「一般芸術学」の構想に結実
20世紀後半に興った「感性論としての美学」構想にフィードラー芸術論の豊かな反響を読み取ることもできる
エステティクスの訳語
中江兆民
美学
感性的認識の学
諸芸術の理論
美(について)の学
感性=芸術=美の三位一体
近代に固有の概念
古代ギリシャで詩や絵画は美を目指す技術ではなく模倣の技術
「人生は短く、芸術は長し」は「短い人生で技術を身につけるのは難しい」という意味
「芸術作品は永遠の存在」というのは誤解
しかしこの誤解に近代の特徴がある

第02回 美学の展開――芸術作品の存在論、感性論、身体美学
デザイン
日常性の美学
ベーメ

第03回 美――快とのかかわりに即して

第04回 美――知覚とのかかわりに即して

第05回 美的範疇――美の変貌

第06回 芸術の成立――模倣する技術から美しい技術へ
クリステラー「芸術の近代的体系」
バトゥー「美しい自然の模倣」
『唯一の原理に還元された諸芸術』
美しい技術=芸術(les beaux arts)
自然を模倣することによって「快」を求める
事実としての自然対象を模倣するのではなく、可能性の領域
完全性を伴ったありうべき自然
プラトン「見かけを模倣する術」

第07回 芸術の変貌ーー革新を支えるもの
技術↔︎自然
自然=自然は原因・結果の連鎖
技術=その原因(すなわち制作者)は「目的を考慮する」
技術は常に、あるものを算出する、というある規定された意図を持つ
「ある一定の意図」の実現を目指す「技術」=「機械的技術」
カント『判断力批判』
「芸術」も「技術」の一種
「規則に従って捉えられ遵守されるような機械的なもの」(いわゆるテクニック)が関与する
こうした「規則」に律せられている限り、芸術は単なる「機械的技術」にとどまる
美しい技術=芸術とは違う
「美しい技術の所産〔=芸術作品〕」における合目的性は、意図的でありながらも、意図的に見えてはならない
技術として意識されつつも、自然とみなされうるのでなくてはならない
「美しい技術は必然的に天才の技術とみなされなくてはならない」
新たなジャンルの成立
小説は芸術とみなされていなかった
アダム・スミス
グリーンバーグ
媒体固有性
アヴァンギャルドの芸術家=「自分たちが制作する際に用いる媒体から主たるインスピレーションを引き出す」
hysysk 自分にとってメディアアートと考えていたものはこれ
何かしら直観しているものはあるのかも知れないが、制作に用いる媒体がなぜコンピュータなのかは個人的な好みとしか言いようがない
インタラクティブなもの、自動化されているもの、電気が通っているもの
メディアスペシフィシティの問題はグリーンバーグ以前からある
アートワールド
ダントー
あるものを芸術と見るには、眼が見分けることのできないあるものが必要
芸術理論の雰囲気、芸術の歴史についての知識、つまりはアートワールド

第08回 創作と解釈――その循環構造をめぐって

第09回 聖像と偶像ーー宗教美術の始まり
キリスト教は偶像を禁止している
にも関わらず偶像が広まったのは何故か
偶像ではなく聖像である
神を実体化したものではなく、それを通して神を拝むための窓
仏像は像そのものが信仰の対象になる
聖体

第10回 聖母と美術――信仰を育んだイメージ

第11回 幻視と召命――キリスト教美術の本質
バロック美術
イエズス会が布教のために美術を利用した
幻視
法悦

第12回 死と追悼――墓廟と記念碑
ウォーホル
リヒター

第13回 飲食と食材――風俗画と静物画
東洋では食事風景は描かれなかった
西洋では聖餐と結びつくので主題になる
良き食事
パン
悪しき食事
享楽
ウォーホル
ツナ缶の惨劇

第14回 性と裸体――ヌードの歴史と意味

第15回 自然と人間――風景画と自然表現