>熟達者は状況の変化に応じて適応的に対処できる (Hatano & Inagaki, 1986).その一方,熟達者の持つ知識やスキルは領域に固有であり,限定的にしか転移しないことも知られている (Chi et al., 1988; Detterman & Sternberg (Eds.), 1993).では,知識の領域固有性と熟達者の柔軟性や創造性はどのように両立しうるのだろうか.熟達者の知が状況や問題に固有のものだとすれば,状況や問題の数だけ知識が必要ということになる.また,未経験の状況に対処したり,新たな知識を生み出したりすることかがそもそも不可能になってしまう.