ソーシャルサポート
Social support 社会的支援/支え合い
論文
>個人が、他者から愛され、大切に思われている、尊敬され、価値を認められている、あるいは相互支援や責任の社会的ネットワークの一員である、などを知覚、経験すること
・家族、友人、知人の数が多い人ほど健康になる
・ストレス要因が増すにつれて、家族、友人、知人の数が多い人ほど影響が少なくなる
ソーシャルサポート(社会的支援)
サポートの認知
受領されたサポート(received support)
実際にサポートしてもらったことの事実や経験の認知
知覚されたサポート(perceived support)
実際のサポートの有無関係なく、当人がサポートされた、サポートしてもらえると認知している状態
要素
社会的スキル
個人差・パーソナリティ
一般的な知覚されたサポート
自尊心
コントロール感
日常会話のシグナル
「面倒見がいい」
サポートの機能
情報的サポート(informational support)
やり方といった知識を提示する
間接サポート
例 ハウツー、攻略本
道具的サポート(instrumental support)
治療的行為
制度を提供する
リソースを提供する
直接サポート
情緒的サポート(emotional support)
カウンセリング、セラピー的行為
当人の状況の理解をする
勇気づけ
孤立感を拭い、前向きにさせる
評価的サポート(appraisal support)
・サポートの知覚には個人差がある。程度が低い人には受領されたサポートを高める工夫が必要。
・受領されたサポートが機能するには、サポートを必要とする人のニーズに沿ったサポートの提供が必要となる。ニーズの推測が重要となる。
・対人関係や組織風土は知覚されたサポートを高める。
職場の人間関係やコミュニケーションの改善によって高まる
サポートしすぎ
ソーシャルサポートの効果についての探索的研究
サポートのすれ違い
人を助け、助けられること
サポートされている認識が低い
福利厚生
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>ソーシャル・サポートを活用して効果的な介入を考えようとすると、なぜソーシャル・サポートが効果的なのかが問題になる。例えば、仕事でのストレスを抱えたときに、家族といればストレスは軽減されるだろうか。大病を患ったときに、職場の同僚からの情緒的なサポートはどのように役立つのか。ソーシャル・サポートが効果を発揮する理由が分からなければ、個別の状況にうまくソーシャル・サポートを活用することは難しい。
> そこで、どのようにソーシャル・サポートが効果を発揮するかを考える際に有効な枠組の1つが、前述した受領されたサポートと知覚されたサポートの分類である。先行研究では、知覚されたサポートは健康に対して一般にポジティブな影響が確認されているのに対して※9、受領されたサポートの結果は一定でなく、ネガティブな影響も報告されている※10。また、この2種類のサポート間には、平均的に0.35の相関しかないことも報告されている※11。つまり、2 つのサポートは区別でき、しかも効果の発揮の仕方が異なる可能性がある。
先行研究から見るソーシャル・サポートの効用
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ソーシャルサポートの必要度・十分度
期待外れなサポート
知識・スキル不足
自分本位・精神論のみ
フォローが乏しい
内容、態度、タイミングが期待と異なる
サポートするのが難しい
自分のスキル・知識不足
相手の期待にそわない。ネガティブな反応があった。
遠慮
自分に余裕がない
方法がうまくいかない
期待はずれだった上司や同僚からのサポート
知識・スキル不足
>専門性のある業務なのに、そういう知識が不足している人から執拗に指導を受けた。結局役に立たずに苦労したことがある
> 自分の仕事を先輩社員が手伝ってくれたことがありましたが、作業が雑で、後々手直しの時間が必要になったため、期待はずれでした
> 技術職なのに、技術を理解している人間が少なすぎる。何も分からないのに情報共有ばっかりしたがる役立たずが多く、足をひっぱるだけなら、関わらないでほしい
> 一緒になって、どうしようか……とか、うーん……とか悩むだけで解決策に至らなかったこと
自分本位
>上司によっては自分の立場しか考えずに答えが返ってくることもあった
> 分かっていることを他の同僚から長々と話されたとき
> 急な仕事が入ってきて忙しいときに話しかけてくる
> 業務で質問した内容に対して、プライベートの時間にLINEで長文の内容の返事をされたこと。プライベートの時間に送られても迷惑だから
> 休憩時間のゆっくりしたい時間にいろいろ話しかけてくる上司
親身でない
>私の考えや、どうしてそう判断し行動したかを最後まで聞かずに、あなたはこうだからと決めつけアドバイスをされたが、納得いかなかった。しかし相手が店長だったので従うしかなかった
> 入職当時に人間関係を上司に相談したら、考えすぎだと軽くあしらわれた
>仕事場で分からない、不明な点を質問しても常識がないと言われるだけで質問に対しての答えをくれない
精神論
>上司は何かあれば相談を、と言ってくれるけど、相談しても頑張れとしか言わない
> 精神論ばっかり。自分の時代はこうだったなど今の時代に合っていない
フォローがない
>覚えるため、と仕事をふられたが、仕事をふってきた本人は何も教えてくれない。結局違う人 (忙しそうな人など )に聞くはめになった
> 仕事を円滑に進める上で、上司のアドバイスを求めたが、自分で考えることが成長につながるという意見をもっている人で、有益なアドバイスを、一切もらえなかった
うまくできなかった自分からのサポート
自分の知識・スキル不足
>自分の知識のなさから良いアドバイスができなかった
> 仕事を手伝おうとしたが、逆に慣れない仕事のせいで教えてもらうことになり、手間を増やしただけだった
相手の期待にそわない、ネガティブな反応がある
>相手のスキルアップを思って支援しようとしたが、相手はスキルアップを目指していなかった
> 後輩に仕事のやり方などを教えたり、支援したりしたが、それを普通のこととして思うようになってしまい、あ> まり自分で考えない傾向が感じられるようになってしまった
> (同期に対して)精神面や仕事の進め方でサポートをしようとしたが、相手は同期からの支援を好まず、助言は聞き入れてもらえなかった
> 先輩を助けたつもりが、面子をつぶしたと思われた
> 若手に対する支援。反応が薄いので、効いているのかどうか分からない
遠慮
>妊娠中の同僚の負担を考えて仕事のサポートを申し出たが、どこまでサポートしたらよいか具体的に話していな> かったので、お互い遠慮してしまいあまり負担軽減にはつながらなかった
> 人によってはあまり助けたり助けられたりしたくない人もいるため、声をかけづらい雰囲気がある
自分の余裕のなさ
>そもそも自分の仕事に余裕がないと他の人のフォローはできないので、後輩に相談や質問をされたときに、手が> 離せなくて応えられなかったこと
> 仕事量が多い同僚のためにコツを教えてあげたいと思ったけれど、自身の仕事量も多いため支援できなかった
方法の失敗
>対人関係に悩んでいる後輩に適切な声かけをしたかったけれど、うまく伝えられず相槌を打つだけになってしまった
その他
>派閥があり、違う派閥とは関わらないような関係になっており、問題があってもお互い見て見ぬ振りをしてしまう
> 相手の相談に対して、支援すべきと判断しているのに、それを実現する上で上司などとの調整がうまくいかず、結果、十分な支援が行えなかったこと。相手は残念そうにしていました
> 足りない部分は気になるが、良いところを見つけたり褒めたりするのはなかなか難しいと感じる
援助要請している理由
> 他者の意見を取り入れた方が、仕事の質が良くなるから
> 相談したいときにすぐ声をかけられるような執務環境だから
> 協働・助け合いをよしとする職場の風土があるから
> いつも快く支援したり相談にのったりしてくれる人が周囲にいるから
> 自分のことを気にかけて声をかけてくれる人がいるから
> 一緒に食事に行くなど、就業時間以外で、相談できる時間があるから
> 相談しやすいコミュニケーションツール(社内SNSなど)があるから
> 1人で抱え込まない方が、自分の精神衛生上良いから
援助要請していない理由
> 自分1人で解決した方が、仕事の質が良くなるから
> 皆、自分のことで手一杯で、声をかけづらい雰囲気があるから
> 他のメンバーと相互に信頼関係が築けていないから
> 社内には相談できる知識や能力をもった人がいないから
> 助け合い、支え合いを重視していない職場の風土だから
> 一緒に食事に行くなど、就業時間以外で、相談できる時間があまりないから
> 相談しやすい社内コミュニケーションツール(社内SNSなど)がないから
> 定期的な上司との面談機会がなく、相談しづらいから
> 以前に支援や相談を断られたことや嫌な顔をされたことがあるから
> 自律性・主体性や自己責任を強く求める雰囲気があるから
> リモートワーク、フリーアドレスなどで、気軽に相談できる執務環境にないから
> 職場が多様な雇用形態で、相談できるような立場の人が身近にいないから
> 助けを求めること=能力が低いと思われてしまいそうだから
> 仕事で貢献できていないのに、申し訳ないと思うから
> 時短の風潮のなかで、他のメンバーの時間を使うことを申し訳ないと思うから
援助要請しやすい環境としにくい環境
援助要請しやすい環境
>業務上の接点が少なくても、気軽に相談にのってもらえる
>管理職とメンバーとの間には信頼関係が構築されている
援助要請しにくい環境
援助要請しにくい環境と人間関係の希薄化
労働時間・忙しさ
>残業をするなと厳しく言われるようになって、残業中に雑談でお互いを知る機会がなくなった
> ノー残業デーや勤務時間の短縮にもかかわらず仕事は増えているので、仕事をこなすことに追われて皆余裕がまるでないと思います
> 忙しさから思いやりが失われている。自分のことで手いっぱいになっている
業績圧力
>数字に追われるようになり、目標達成しないと殺伐とした雰囲気になり、できない人を軽視するなど、助け合い> 協力したり、思いやったりすることが少なくなってきた気がします
> 利益追求のしすぎで、社員が疲れている。ミスをしてはいけない雰囲気
仕事以外の対話機会
>飲み会などの、仕事以外の交流が少なくなったため、お互いがお互いに干渉することもほとんどなくなった
> 仕事のこと以外あまり関わらないようにしている人が多い。プライベートの話をしたがらない
人員構成
> 社員の入れ替わりが激しく、長年勤めている社員と新入社員の年齢差が大きいため、コミュニケーションがとれていない気がする
その他
>みんな自分の仕事の範囲を決めてしまって、余計な作業を引き受けるような人が減っている。困った人を助ける人が少なくなっている
> パソコン上で仕事が完結し、面と向かった対話がない
> ハラスメントが取り上げられて、人間関係が希薄になっていると感じる。私も若い子に何を話してよいか分からず、対応に疲れる
希薄化していない環境
仕組み・風土
>仕事中もお互いの仕事状況について声かけをして手伝う風習があるので
> 上司がメリハリをつけながら、より良い職場環境にするべく努力している姿が見えている
> 昔よりも上下関係が厳しくなくなり、フランクになんでも喋れる環境になってきた
仕事以外の対話機会
>定期的に飲み会などもあり、円滑に業務ができていると思うため
> 皆、何も問題がないときは気軽に談笑したりしながら仕事をしているから
> 5年前よりもプライベートでの交わりが増えているから
人間関係構築や必要なサポートの獲得に役に立っている制度・仕組み
導入割合・役立ち度ともに高い
上司との定期的な面談
定期異動・ローテーション
集合研修・ワークショップ
導入割合がそれほど高くはないものの役立ち度が高い
社員同士での飲食の金銭的補助
社員が集まる場所の設置
社員による自主的な勉強会
社内コミュニケーションツール
業務以外の社内コミュニティ
会社主催の懇親イベント
出典