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倉下さん
初めて倉下さんに会ったとき、というか、それが今のところ最初で最後なのだけれど、Tak.さんの紙の本の出版記念みたいなイベントだった。堀さんと倉下さんとTak.さんが演者で、とんでもない数のスライドがどんどん流れていく、でも刺激的な集まりだった。

ちょっと早めに着いたんで、そばのカフェで仕事したりして、受付に行ったのは開始10分前くらい。大きなビルがたくさんある、東京の真ん中あたりだったように覚えている。

受付を済ませながら、受付テーブルうしろの右奥にいる倉下さんを見つけ、ゆっくり歩いて行って「倉下さんですね」と声をかけた。

倉下さんは座ったまま、そしてコンピュータ膝に置いたまま「へ?」っていう顔でこちらを見る。「ふじたです」と話しかけたけど「へ?」っていう顔のままなので、「ごうです。ごう、ふじたです」と言ってみる。

それから0.5秒くらい倉下さんの顔は「へ?」のまま(頭の中がくるくる回転しているのが見える気がした)。そして「そうか」という顔をして、ぼくの顔など確かめたりなどせず、すぐに部屋の対角線奥にいる、るうさんを首をのばして探し、見つけるや否や、そちらへすごいスピードで走って行った。

あいさつのお辞儀や握手もせずに(ぼくは手を出していた..)、「るうさんに知らせなければ、るうさん、るうさん..」という心の声が聞こえてくるようで、しかも最初に伝える相手が Tak.さんでもなく Hibiki さんでもなく、るうさんであるところが、良かった。

倉下さんが、るうさんをどんな風に頼りにしているか、そして、あいさつとかにはほぼ囚われていない、倉下さんや倉下さんを取り巻く人たちとの関係が、垣間見えた気がした。そして、随分とほっとしたことを覚えている。

「あぁ、居心地の良いところだ」と思ったりした。

(January 19, 2020)