>また橋爪大三郎は、名詞や動詞など8つ以上ある日本語の品詞を、自己表出と指示表出の2つのエネルギーに還元し、2本のベクトルで張られたフロンティアに並べ相対関係をみる『言語にとって美とはなにか』の力学的な方法を、「脳のなかに書き込まれているわけではない」品詞、そしてそれが時間軸に沿って組み合わさり文法を構成するプロセスの解明に、世界で初めてといっていいくらい早く取り組んだものとして評価している。これは、品詞という現象はなぜ起きるのだろうか、という問題を『文法の構造』のノーム・チョムスキーとは独立して取り上げたものであり、フェルディナン・ド・ソシュールがほとんど触れなかった問題である。