最強のふたり
過去にパラグライダー事故により首から下はまったく動かなくなってしまった障害者であり、大金持ちであるフィリップ。新たな介護者を募集したところやってきたのが、黒人でいつもマリファナを吸っているドリスだった。ドリスは失業保険をもらうために応募しただけだったから、ワザと適当なことを言って不採用になろうとするのだが、逆に「自分を障害者扱いしない」その態度を気に入られ、フィリップに採用されてしまう。障害のことも介護のこともまったく知らないズブのド素人だが、根っからポジティブで、行動的なドリスにフィリップはどんどん感化されていき......。実話を元にした
映画らしい。
確かに障害者を障害者としてしか見ないのはよくないことだろうし、ドリスの人柄には惹かれるところもある。が、それにしたって、障害者差別や女性差別が多すぎて、正直困惑した。
2012年の映画ってまだこんなだったのか......。
「チョコをくれ」と言うフィリップに「ダメダメ。これは健常者専用チョコだし。あはは、ジョークジョーク。腹痛え!」みたいに言うのだが、いや、それはちょっと......。フィリップはもう半年も遠方の女性と文通しているのだが、それを知ったドリスは「電話してみろよ。写真は? ブスだったらどうする。ブスかもよ?」とブスブス連発。フィリップの秘書のマガリーにはセクハラしまくるし、極め付けはフィリップの髭を剃ってヒトラーの髭にしてしまうイタズラまで。さすがにフィリップから「これは絶対にダメだ」と怒られるのだが、ここまでやられると「障害者とか健常者とか分けてないでさ。大事なのはハートとハートじゃん?」みたいな乱暴な話をされている感じがして、まったく感動などできなかった。
そもそもがオープニングから、ドリス、無免許運転で速度違反、追い抜き走行しまくって警察から追われてるからな。「この人は重症で今病院に緊急移送中なんだ!!この人がどうなってもいいのか!!」と嘘をついて警察を騙すというおまけつきで、安心して見ていられない。正義や正しさにこりかたまった障害者やその物語なんて飽き飽きしてるんだ、もっと自由にハメを外したっていいじゃないか!というニーズがあったのかしらん、フランスでも日本でもこの映画はとんでもない興行成績を叩き出したらしいが、今見るとドン引き必至である。