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メン・イン・ブラック

ほんとまじで、マジでなーーーんも考えずに観たし、観られる映画って感じ。毒にも薬にもならない設定と、おもしろすぎないベタなお笑い、めんどくさいラブロマンスもまったくなし!っていう。ウィル・スミスが若さを生かしてとにかく走る走る。アクションあり、一応チェイスあり。トミー・リー・ジョーンズの「静」との対比がまたおもしろい。

唯一引っかかるのがMIBの存在。宇宙人の侵攻を影で食い止めるため、MIBは、社会的な記憶や記録をすべて抹消され、それまでの人生がすべて「なかったこと」にされる。勤務は37時間体制.....。その他、休みや給与、処遇はどうなってるのか。仕事で燃え尽きたらおしまいである。実際、燃え尽きて引退するMIBも描かれるし、トミー・リー・ジョーンズ演じる「J」も最後は引退するのだが、なんせそれまでの記憶も記録も思いっきり消されてるわけで。

物語は一応、最後の敵を二人でやっつけ、JがMIBを引退し、30年ぶりに愛する人の元に戻ることでハッピーエンド!としているのだが、30年間の記憶がないわけでしょ? 気づいたら30歳も歳をとってたのと主観的には同じで、これじゃ玉手箱と変わらない。とてもハッピーとは言えないんじゃないか。

それなのに新しくMIBになる人間も出てくるのが、エイリアンの存在以上にとにかく不思議だ。仕事がそこまでおもしろそうだとも思わないし、余暇があっても、お付き合いできる相手もいないわけで、一生孤独で仕事だけやっててください、しかもその仕事は命懸けです、殉職も日常茶飯に起こりえますって、一体誰がやりたがるんだっていう。社会的に存在しないことになってる組織なわけで「人々から敬意を持たれる」可能性すらない。「黒服」どころか完全な黒子である。

舞台はNYだし、人間ならざるものから人間を守るコメディタッチのシリーズ物ということで言えば、ゴーストバスターズシリーズと同じなのだが、ゴーバスはゴーストとともにその存在をみなに知られているし、単なる私企業の一つだから志願者がいてもわかるのだが、MIBにだけは絶対になりたくないと思ってしまったし、その点だけが「何も考えずに観られる」パーティームービーとして後味が実は悪い。