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古代遠近法
遠近法ルネサンス時代に確立されたが、古代ギリシャ時代にも存在していたようだ。
ボスコレアーレポンペイにある古代ローマの遺跡の壁画には、ルネサンス時代に発明された遠近法とは異なる『古代遠近法』の技術が見られる。
これは古代ギリシャ時代の遠近法から受け継がれた技術ではないかと言われている。

ボスコレアーレのvillaの壁画から
(消失点が垂中線上で何点かにまたがっている)


ちなみにルネサンス期に開発された一点透視図法はこんな感じ
消失点が1つに設定されてそこを中心に描かれています)

ルネサンスの遠近法の消失点が一点であるのに対し、古代遠近法のそれは一点には収束しない。ボスコレアーレの壁画の透視線を見てみるとわかるようにその消失点は垂中線上で何点かにまたがっている。消失”点”が縦に伸びて消失”線”になっているのだ。

①が古代遠近法の手法、右②がルネサンス遠近法に基づく手法での見かけのスクリーン。
①の古代遠近法では見かけのスクリーンが魚眼レンズのように湾曲している。

ざっくり説明すると、古代には図面の上部と下部はカーブしていた。ということである。
まるで彼らがカーブするレンズ(魚眼レンズ)を通して見るように、この方法は見ためのイメージをうまく表現している。
ボスコレアーレの絵画には、消失点がありこの使用を示しているが、しかしルネサンスのように水平線ではなく、これは上下の垂中線を重要視していた。

一点透視図法というのは視点を固定している。実は、これは両目を使う人間の感覚とは微妙に違う。
人間は両目でものを見る。眼球を常に動かし、2つあればその視差で立体感を意識しながら対象物を隅から隅まで追う。“見回し”という動作を常におこなっている。この“見回し”という動作により、視点が固定されることはない。
”見回す”ことにより自然と視覚矯正してしまっている。

古代ギリシャの魚眼レンズのような遠近法では、端の方の空間を曲げて表現しているわけで、端の方を描く時はそちらに目のレンズの中心をずらしてナチュラルにみえるように修正し描いているというわけだ。この古代遠近法の方が人間が双眼で見た視覚の有り様に近い。
逆に、ルネサンス遠近法は視点を固定した単眼視の表現である。