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フランシス・ベイコンと日本

バリー・ジュールの証言より。


死の三ヶ月前、大英博物館の日本部門を訪れたベイコンは、浜田知明の銅版画を見て自作との共通性を指摘した。
また、葛飾北斎『神奈川沖浪裏』をちらりと見て否定的なニュアンスでこういった。
>「La vague gelée (凍った波)、そんなところだな」
彼が心を奪われたのは、日本の面、特に8~15世紀に作られた、伎楽で用いられる面の数々だった。
また、狩野元信の模写(「伊吹山酒呑童子絵巻」。酒呑童子が描かれている)に感心した。

彼は日本の侍に興味を示した。

画家でななければ映画監督になっていたと話していた彼は、黒澤明の作品を熱心に観ていた。とりわけ『羅生門』を。――他にも、セルゲイ・エイゼンシテインジャン・ルノワールなど、ドローイングや絵画から映画製作へ転身した人物たちに関心をよせていた。三船敏郎を気に入っていた。

彼の書棚には、三島由紀夫の作品があり、敬愛する作家の一人だった。彼は50年代初めに『仮面の告白』を読み、同性愛を主題としたこの作品の虜となった。「最も興味深い傑出した人物」。

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1993年、デイヴィッド・シルヴェスターは日本大使にベイコンと日本美術の共通性についてコメントした(だが大使の反応は芳しいものではなかったという)。
シルヴェスターは「ベイコンは日本の版画にもっとも影響を受けたヨーロッパの画家である」と述べている。