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グロテスク・リアリズム
概要
バフチンによれば、ラブレーの作品は「グロテスク・リアリズム」という美的概念によって形づくられている。

特徴
グロテスク・リアリズムは、
1. 物質的・肉体的な力の肯定
2. 高貴なものを格下げし(パロディ)、なおかつ再生させる
3. 生と死・新旧・始まりと終わりなど、両面的な価値をもつ
という特徴をもつ。

グロテスク・リアリズムの作家
ラブレーセルバンテスロレンス・スターンなどは「グロテスク・リアリズム」的な作家である。

グロテスク・リアリズムの流れ
スターン主観的グロテスクを生み出し、ロマン主義に影響を与えた。
近代の形だけのパロディは否定的性格のもので、再生させるという両面的な価値を失っている。そのため以前有していたような巨大な意義を保持することができなくなった。
十九世紀には、グロテスクな要素から笑いの原理を忘れ、一面的に理解し、純粋に諷刺的な笑いのみを重視した。これは本質的には生真面目で教訓的な、笑いなきレトリックの笑いだった。このような笑い以外に許容されたのは、無思索的で無害な、純粋に娯楽的な笑いである、そこにもはや価値転換はなかった。
二十世紀の実存主義的な文学には、喜びにあふれたカーニバル世界の面影はすでにない。バフチンはこの種の作品のグロテスクを「モデルニズムのグロテスク」と呼ぶ。サルトル『嘔吐』はモデルニズムのグロテスクの最も分かりやすい例である。
対して、トーマス・マンベルトルト・ブレヒトパブロ・ネルーダらの作品を「リアリズムのグロテスク」と呼び、民衆文化との伝統とつながり、カーニバル形式の直接的影響を反映しているとする。

日本における需要
現代日本では大江健三郎がラブレーからバフチン・渡辺一夫経由でグロテスク・リアリズムを継承した。