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『沈める滝』


>『沈める滝』(しずめるたき)は、三島由紀夫の長編小説。原題は旧漢字の『沈める瀧』である。愛を信じないダム設計技師が建設調査の冬ごもりの間、或る不感症の人妻と会わないことで人工恋愛を合成しようとする物語。ダム建設を背景にした一組の男女の恋愛心理の変化を軸に、芸術と愛情の関連を描いた作品である。人間を圧倒する超絶的な自然環境の中で推移する男の心理、やがてダムによって沈む小さな滝に象徴される女、人間主義的な同僚との絡み合いを通じ、冷徹な物質の世界と感情に包まれた人間の世界との対比や、社会的効用主義に先んずる技術者(芸術家)の純粋情熱が暗喩的に描かれ、自然と技術(芸術)との相互関係が考察されている。
> 1955年(昭和30年)、雑誌『中央公論』1月号から4月号に連載され、同年4月30日に中央公論社より単行本刊行された。文庫版は1959年(昭和34年)8月25日新潮文庫より刊行された。

主人公は城所昇(きどころのぼる)