>紀尾井町の旦那藤代信之の恋愛遍歴を中心とする小説.彼はさまざまな女性と関係するが,まごころのままに生きるという自分の生き方にすこしも疑念をはさまない.彼は自分の金を詐取して出奔する男にも,それが恋に対するまごころのためなら祝福し,不良少年の姦通にもそこに心の誠があれば許す.作者の哲学をもっともよく伝える作品.